うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

『ゆるキャン△』 5話までの感銘を受けたところ。

f:id:wasasula:20180206205028j:plain

 「気持ちのよいアニメ」という感想の理由はさまざま考えられるが、そのひとつに「加点が連続する」が挙げられると思う。瞬間的に100点を叩き出すことは存外に簡単だが、「常に毎秒10点ずつ加算される」というのはむずかしい。

 『ゆるキャン△』がすばらしいのはそこで、およそこのアニメでは減点が発生せず、加点され続ける。全てが正しく、快く、自明である。これが5話も持続していれば、上のなでしこのような顔で毎週木曜23:30を迎えることができるものである。

 というわけで「アッ…アッ…」とカオナシと化してしまう余韻を振り払い、3~5話分の『ゆるキャン△』の感想を書き残す。

 

ナチュラルな交友関係に焚き火が灯る

f:id:wasasula:20180206212943j:plain

 とにかく本作はいろいろな要素がナチュラルだ。それは「うまい」を一言も使わず「寒空の下で食べるカップ麺の味」を伝える第1話を見れば、自ずとわかる。

 3話から特に惹かれたのは人間関係の広がり方だった。『ゆるキャン△』の友人関係は、ごく自然に、心地よく広がっていく。

 例えば、志摩リンと各務原なでしこの間に、「わたしたち友達だね!」という明示的な宣言は不要である。キャンプ場でいっしょに鍋を食い、夜空を見上げながらラジオを聞く。そうした時間を経るだけで、ソロキャン少女が隣で寝ているミノムシに「起きなよ。なでしこ」と声をかけるには十分な理由付けとなるのである。

 他にも、イヌ子が2話時点で「各務原ちゃん」と呼んでいたものが、4話でしれっと「なでしこちゃん」と呼ぶようになっていたりと、さりげない関係進展がバンバン出てくる。交友関係そのものも、あかるさまなレズではなく、「隣に座る友人」としてフランクに描いている。

 

f:id:wasasula:20180206214017j:plain

 SNS(おそらくLINE的なもの)というガジェットも、この作品の友人関係を効果的に示すツールとして欠かせない。割と各キャラたちは、位置的に離れているシーンが多い。しかしLINEでひんぱんに会話しているので、画面上における距離感はほとんどない。現代っ子にありがちなやつだが、その「つかずはなれず」な描き方が実に自然体で、わざとらしくない「友人」のあり方がとても小気味よい。

 

f:id:wasasula:20180206213736j:plain

 こうした要素が結集するからこそ、5話のラスト数分はエモーションの権化なのだ。「別々の場所で、同じ時間に夜空を見ている」という関係性こそ、『ゆるキャン△』という作品を象徴するものである。

 

ただただ俺の胃袋がスープパスタを欲する

f:id:wasasula:20180206215452j:plain

 木曜夜はグルメなアニメが重なってる。

 『ラーメン大好き小泉さん』は実在店舗ラーメンが乱舞するし、『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』も「異世界食レポに改名しろ」と言いたくなるぐらい食事要素にこだわりがある*1。正直腹が減ってつらい。

 この2作品は、どちらかと言えば「食レポ」寄りである。いわば技巧派だ。『ゆるキャン△』はテクニックを用いない。「食欲」という本能に訴えかける。主に「寒空と湯気」という、原始的だが最も凶悪なコンボによって。そりゃ寒い山の上でアツアツのスープパスタを作って食ったら幸福だろうて。

 

f:id:wasasula:20180206220234j:plain

 食事の様子も食欲をかきたてる。なでしこは全身を使って食べる。黙々と平らげ、その喜びを全身を使って表現する。「うまそうに食う」とはリンの感想だが、こんな食べ方をしている女の子がいれば温玉揚げもカートンで買いたくなるものだろう。

 

f:id:wasasula:20180206220242j:plain

 一方のリンは動きこそ少ないが、顔がとにかくゆるむ。冷え切った体の中を、温かなスープが伝っていった時に、誰もが浮かべるであろうふにゃけた表情が、気がつくとこちらの唾腺を刺激してくる。

 

 両者とも、「あざといおいしいアピール」ではないのがとても空腹を催す。「うぅ~んおいしぃ~♡」とかわいらしく騒ぐのでなく、「うっま……」という感嘆だけを淡々と残すせいで、余計に腹が減る。

 

f:id:wasasula:20180206221450j:plain

 と言いつつも、野クルキャンプでは「うんまぁ~♡」と三人ではしゃぐシーンが多く見られる。このあたり、「友達でワイワイ出かけた時のはしゃいでる感じ」がヒリヒリと伝わってきたし、あざとめな「おいしぃ~♡」とは「女の子の共鳴」と捉えるのが筋なのだろう。だが温玉揚げはめちゃめちゃ食欲を刺激されて死にかけたよ。

 

補填と修正が秀逸な映像化

 実はアニメにあまりにも感銘を受けたので原作も一斉に買い占めた。

ゆるキャン△ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

ゆるキャン△ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

 結論としては「最高」の一言で、あの絶妙な空気感は原作由来なのだと気づき、さらに感銘を受けた次第だ。

 そして気づいたのは、原作から削られている要素がほとんどない、という点である。むしろアニメ版、細かい補填や修正が随所に仕込まれている。

 3話冒頭の、なでしこが麓キャンプ場へ行くくだりや、同じく3話の千明のバイト面接、4話でちらっと映ったリンのバイトの描写、といったものは、実はアニメで追加されているもの。あまりに自然に溶け込んでいるので、言われてびっくりするようなものが多い気もする。

f:id:wasasula:20180206234724j:plain

 他にも、温泉シーンでなでしこと千明が髪をアップにしているが、これはアニメ版での修正点。原作だと普通に垂らしている。こういった細かい改良が見られるので、かなり映像化に気を使っているように感じられる。

 丁寧な補填や修正が多く見られる原作付きアニメはなかなかない。原作もアニメもどちらも上々であり、まさに恵まれた映像化と言えるだろう。

 

余談

  • とにかく5話がエモすぎてマジで泣いた。
  • 個人的な印象かもしれないが、登場人物が全体的にINT値が高めに感じる。なでしこはあのツラとキャラではあるが、「うなぎのねどこ」なんて表現をとっさに引き出せるあたり、かしこい子なのかもしれない。まだアニメ化されてない箇所でも、頭が回転してるやりとりが多く、キレがよい。
  • くいしんぼうなアホの子と見せかけて、なかなかかしこく、料理スキルが高く、そしてコミュ力おばけな各務原なでしこという女。これと対照的な趣味に生きる女こと志摩リンという女。二人の組み合わせが強い。

f:id:wasasula:20180207000102j:plain

  • 今日はにわかにイヌ子こと犬山あおいさんのカラダがエロいという話題をよく目にする。おそらく本作唯一のデカパイ枠なのだが、5話のこのカットね。乳の重たさとブラのデザインが「巨乳の女」ってイメージを強く描いていて、思わずテレビの前で生唾飲んだよね。

 

*1:なろう異世界モノにおける1つの潮流「グルメもの」が流行ってきた時の作品だから、という噂もある。まぁ専門でなくてもやたら食事に描写をこだわる作品が多い