うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

『バーフバリ』は全人類が観るべき21世紀の神話だから、みんな観てくれ!!!!!!!!!!!

 まず最初に。『バーフバリ』は傑作です。

 

 インド映画史上最高傑作なんてものじゃない。全世界の映画の頂点に余裕で君臨できる。「英雄叙事詩」の名に違わない圧倒的にデカいストーリーを、真正面から受け止め支える壮大すぎる映像。あらゆるアクションとイベントがトチ狂ったスケールで展開し、さらに随所に差し込まれる挿入歌によって、観賞中の熱気はインドラの矢並にヒートアップ。それでいてボンクラ映画ではまるでなく、愛憎絡み合う親子三代の物語は、紛れもなく王道の英雄譚。

 テンション上がりっぱなし。スケール広がりっぱなし。それでいて胸を打つ美しい物語によって、笑いと興奮と感動で入り混じった涙がダムのように流れる。

 もはや「映画」なんてカテゴリは意味をなさない。「神話」だ。『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』に続く、21世紀に爆誕したインド最新の英雄叙事詩。それが『バーフバリ』なのである!

 まことに恥ずかしながら昨日今日で『バーフバリ 伝説誕生』を観た後、速攻で『バーフバリ 王の凱旋』へ駆け込んだ身なのだが、これはマジで全人類が観なければいけないと思ったし、一人でも多く観に行ってほしいがゆえにこうして筆をとる。とにかく、最高、最高なんです。みんなも観てくれ!『バーフバリ』を!!

 

 『バーフバリ』ってどんな映画?

 インドの神話的英雄叙事詩。誇張抜きでアーサー王伝説とかの類。*1 2部構成となっており、第1作『バーフバリ 伝説誕生(原題:Baahubali: The Beginning)』が2015年公開(日本では2017年4月公開だったらしい)、第2作『バーフバリ 王の凱旋(原題:Baahubali 2: The Conclusion)』は2017年公開、日本では2017年12月29日より封切りとなっている。

 マヒシュマティ王国の王子、アマレンドラ・バーフバリと、アマレンドラの息子、シヴドゥ/マヘンドラ・バーフバリによる、50年の長きに渡る王国を巡る復讐劇が物語の根幹。いわゆる貴種流離譚であり、暴君から命を賭して国母が守った赤子のマヘンドラが、立派な青年となって巨大な滝を登って自らのルーツたるマヒシュマティ王国へ戻り、運命の恋人と出会いながら囚われの母妃を救いに行く――というのが、『伝説誕生』のあらまし。そこから更に連なる「完結編」が『王の凱旋』である。

 なんと親切なことにダイジェスト動画が存在する。そして上映館によっては『王の凱旋』の上映前に流れる。僕は流れるパターンで観たが、たしかによくわかるダイジェストだったのでいきなり『王の凱旋』から観ても大丈夫です。だから今すぐ『王の凱旋』を観に行くんだ!!

www.youtube.com

 

どんな人におすすめ?

  • さっき映画館で『キングスマン:ゴールデンサークル』を観た人:おすすめです。英国紳士ガンギマリエージェントと並び立つ存在が、バーフバリです。
  • 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でV8に染まった人:おすすめです。同作のアクションスタッフがいる上、最高にクールなチャリオットと、屈強な象があなたを歓迎するでしょう。
  • 『ジョン・ウィック』で殺戮のヒットチャートに酔いしれた人:おすすめです。同作のスタッフが関わったため、バーフバリの動きはジョンに負けず劣らずバイオレンスです。
  • 『HiGH&LOW』シリーズでSWORDの祭に熱狂した人:おすすめです。SWORDとマヒシュマティ、どちらも「神話」が生まれる土地に変わりはありません。
  • 『Fate/Grand Order』で人理修復の旅に出た人:おすすめです。特にアルジュナ、カルナ、ラーマ、パールヴァティーに心奪われたマスター。バーフバリは最新にして最強のインドの英霊です。
  • 『ガールズ&パンツァー』シリーズで戦車道履修を検討している人:おすすめです。古代インド式戦車が映る貴重な映像資料である上、バーフバリはあの西住流にも通ずる、奇想天外かつ優れた兵法を展開します。
  • その他の方:おすすめです。『バーフバリ』は全人類が熱狂できる最新の神話です。

 

この映画のどこがすごいんだい?

 全部。ほんとに全部すごい。なので『バーフバリ』を観てくれ!!

 という布教も無理があるので、順を追って話します。

 

『伝説誕生』について

①とにかくスケールが”デカい”

 第1作『伝説誕生』の始まりは、国母・シヴァガミが、手負いの身で幼いマヘンドラを抱えて逃げている場面から始まる。シヴァガミは足を滑らせ川へ落ちてしまい、マヘンドラを救いたい一心で、シヴァ神へ向けて叫び、川へ沈むーー「マヘンドラ・バーフバリは生きねばならぬ!」

 

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 そしてこのカット。もうこれを神話と呼ばずになんと呼ぶよ。これが開幕5分で叩きつけられる、それが『バーフバリ』のスケール感です。

 そして、成長したシヴドゥが、滝の上に興味を持って多岐を登ろうとするのだけども、この滝もデカい。デカい。それはもうデカーーーーーーイ!としか言えないレベル。「アビスかなにか?」みたいなデカさでもうめまいがする。これを体一つで登っていくシヴドゥ。ね? 英雄譚でしょ?

 というように、とにかくあらゆるもののスケールがデカい。シチュエーションにせよ、景色にせよ。作品の規模の大きさに映像が追いついていないことは映画に限らずよくあるけども、『バーフバリ』においては映像がまるで負けていない。描き方はすごい精緻なのだ。だからこそ説得力がすさまじいし、「デケェ…」と素直に息を呑めるのである。

 

②ぶっ飛びまくってるアクションやアイテム

 そんな規格外のスケールを誇る物語。登場人物のやることなすことが地味であるはずがありません。ただ派手では済まない。「いったいどういうこと!?」と狼狽してしまうほどぶっ飛んだアクションで『バーフバリ』は溢れかえっている。

 上でも記した「シヴドゥの滝登り」にしても、

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 「飛び降りつつ即席の弓でフックショット登頂」というスペクタクルを叩きつけてくる。ハイラルの勇者でもやらねえよ。正直クレイジーな絵面なのだが、これがもう死ぬほどかっこいい。本作の魅力の一つである。

 他にも「スタイリッシュ脱衣&洗髪&化粧」「雪山を殴って雪崩発生」みたいな目を疑う光景が次々に飛んでくる。敵兵でジャイアントスイングはもはや序の口で、バーフバリの英雄的体躯*2をもってすれば、そのへんの巨石や樹は引っこ抜いてぶん回せる。なにもかも豪快なのでとてつもなく気持ちが良い。

 その一方で、スタイリッシュでキレッキレな大立ち回りは、ヒロイックかつバイオレンス。敵兵相手に純粋な武芸で無双する光景は文句なしに爽快で、純粋なアクション映画としても秀逸である。

 

 また、アクションに負けず劣らず、各種アイテム・ガジェットもなかなかに魅力的。特に終盤のクライマックス「蛮族との戦争」にて、もう一人の王子にして宿敵・バラーラデーヴァが戦車(チャリオット)を乗り回すのですが……

 

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 どうよこのトチ狂ったデザインを。最高じゃないですか???*3

 他にもバラーラデーヴァは「DQでやれ」と言いたくなるような伸縮自在モーニングスターをぶん回すので最高。ちなみにぶっ飛んでなくても、各種武具は無骨ながら洗練されたデザインで、オトコノコのハートに刺さること請け合い。

 

③ことごとく”強い”登場人物

 スケールのデカさ。アクションのぶっ飛び具合。では登場人物たちは? 実はヤワだったりしない?どうかご安心されたし。最新の神話たる『バーフバリ』の登場人物たちは、そろいもそろってストロングな英雄が結集している。

 まず男たちが強い。メイン人物はこぞってマッチョであり、覇気があり、そして歴史がある。バーフバリは強くも心優しい「名君」たる父子ともに持つ英雄。バラーラデーヴァは圧倒的なまでの力を持つ「暴君」として、しかし暗君ではないという覇者ぶりが際立つ悪役。王家に仕える老兵の奴隷剣士・カッタッパは、老いを感じさせぬ武芸と体力を有するも、名君と暴君の間で葛藤し、後悔を続けるも忠義を貫く人物として描かれている。いずれの人物も強く、強く生きている。鍛え抜かれた背中だけで語れる男はただ憧れる。

 そして、女たちもこぞって強い。まず、国母・シヴァガミがとんでもなくストロング・ウーマン。王兄たる夫を差し置いて君主につく女傑にして、自分に刺さった矢を引っこ抜き、それを使って追ってを2人殺すとんでもないご婦人。そもそも眼力だけで人を殺せる勢いである。『伝説誕生』時点のメインヒロインであるアヴァンティカも、組織のボスに毅然と意見を述べる強い女性であり、シヴドゥの母・デーヴァセーナも25年鎖につながれたと思えないストロング精神を披露していくる。いずれの女性も眼力がすさまじく、そこがインドの女性の強さにして最大の魅力なのだと思わせる。なにより、それで「美しさ」がまるで損なわれていないのがすごい。

 兎にも角にも、「かっこいい/美しい」よりも先に、なによりも「強い」がイメージとして先行するのが、『バーフバリ』の登場人物の最大の魅力だ。英雄譚の構成員として恥じることのないストロングぶりこそ、本作の熱気の主要因なのかもしれない。

 

 

 ……というのが、『伝説誕生』の魅力である。これだけで3000文字近く消費している。

 だが、これをさらに凌駕する傑作があると信じられるだろうか?

 ーーその「傑作」は間違いなく存在する。第2作『王の凱旋』である。

 

『王の凱旋』について

 本稿執筆時点ではまだ上映中ということもあり、まだ詳細な言及は控えようと思う。だが、上掲3つの要素はさらにスケールアップしている。つまり、「最高」なんですよ。だからいますぐにでも『王の凱旋』を見に行ってください!!!!!

 

①とにかくスケールが"デカい"

 信じられないが、スケールはさらにBIGになっている。規格外と思われた『伝説誕生』すら軽く凌駕するレベルだ。

 その一例として「乗り物」に目を向けよう。

 えっ? もう映画のトチ狂った乗り物は飽和気味? 「鬼邪高ありがとうダンプカー」でおなかいっぱい? っていうかマッ怒のキテレツ最高モンスターマシーンを超えるのかって?

 インドの神話を舐めちゃいけない。神話に相応しき乗り物がある。

 例えば! それは角が燃え盛る牛の群れである!!

 あるいは空飛ぶ白鳥の船である!!

 これがなにを指すかは劇場に足を運んでほしい……野暮なことをいうが、観たものをそのまま書き記しているに過ぎない。そして、これは氷山の一角に過ぎないこともおぼえておいてほしい。

 

②ぶっ飛びまくってるアクションやアイテム

 これもさらにスケールアップしている。これはネタバレになるのだが、開始3分で巨象が吹き飛ぶ。

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 そして、巨象が弓を射る。放つのは燃え盛る槍。射手はもちろん、バーフバリだ。

 こんなトチ狂った絵が10分も経たない間に連発されるところに『王の凱旋』のすごさがある。

 ついでにもう1枚。

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 真の英雄は矢を3本同時に放つ。それを忘れないことだ。

 

③ことごとく”強い”登場人物

 各キャラもぬかりはない。アマレンドラは間違いなく全盛期であり、「俺TUEEE」なんてジャーゴンが恥を知ってヒマラヤへ出家するくらいの英雄的大立ち回りが連発される。また、「信念に従って行動する」という側面も強化され、その生き様が彼の生涯を象徴することとなる。

 王妃・デーヴァセーナも若き日で登場するが、これがもうハチャメチャに強い。間違いなく『バーフバリ』世界における女性キャラダイアグラム首位。「そのメンタルの強さはそういうことか!」と合点するほどの、強く美しいプリンセスの姿は必見。もちろん、シヴドゥの時代における精神的強さも、本当に気高く美しい。

 そして、父と母の意思を継いだシヴドゥ、暴君として覇道を唱える意思を固めた若き日のバラーラデーヴァ、悲壮な過去を乗り越えてシヴドゥとともに立つカッパッタ、想い人を支えるべく奮戦するアヴァンティカ、二人の息子と君主という座の間で揺れ動くシヴァガミ……様々な登場人物が、強く生き、駆け抜けていく。『伝説誕生』にも増して力強く生きる登場人物は、『バーフバリ』という叙事詩をさらに鮮やかに彩っていく。

 

 さらに、『王の凱旋』で見過ごせない点がある。

 

④愛憎渦巻く重厚なシナリオ

 『伝説誕生』でも非常に王道なシナリオでとても胸を打つが、『王の凱旋』はさらに素晴らしいシナリオが待つ。

 こればかりは語り過ぎは興ざめだろう。だが限定的に話すならば、「運命的な恋」「母と子」「夫妻の絆」「主君への忠誠」「負け続けた者たちの怨み」……神話をかたどる物語は、50年という時間的重みを得てさらに重厚になり、さらに神話性を強めていく。それが『王の凱旋』という作品を傑作たらしめていることは保障しよう。

 

全人類に観てほしい

 「大きな物語の終焉」が声高に唱えられてひさしい時代となった。ポストモダンへ移行し、もはや神、ユートピア、イデオロギーは機能し得ないーーそれが21世紀のある種び思想とされてきた。

 だが、我々は新たな「神話」の誕生を目の当たりにしている。『バーフバリ』ーーそれは、我々に無限の勇気と活力を与え、無数の生きる道を指し示す、21世紀の神話なのである。

 そう信じても恥はないほど、『バーフバリ』という作品にはかつてないエネルギーが満ちている。父子の50年を越えた「バーフバリ」という生き様に熱狂し、感動し、祈りを捧げる。それを是とする、ステキなコンテンツが世に羽ばたいているのだ。こんな素晴らしく、美しいことがあるだろうか!

 まぁ、そんなことは抜きにしても、『バーフバリ』はケタ違いに面白い、すさまじいエンターテインメントなのだ。この面白さは是非に味わってほしい。2018年最高の映画の一つであると同意に、インド映画史にも、全世界の映画史にも燦然と輝く傑作。それを見届ければ、あなたの人生は間違いなく幸福になる。間違いなく、全人類に観てほしい神話なのだ。

 どうかぜひ、『バーフバリ』2部作を観てほしい。そして、観終えたあなたと、ともに唱和したいのである。

 

\バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!/

*1:実際、インド二大叙事詩の一つ『マハーバーラタ』に強い影響を受けて作られているのだとか。

*2:Fateに例えるなら、耐久:A+、筋力:Aくらいのスペックは軽くある。だが宿敵・バラーラデーヴァは筋力A++は絶対ある。

*3:よく分からないかもなので説明すると、先端にプロペラカッターが搭載されていて、突撃すれば敵を切り刻む最高にクールなデザインです。