うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

2017年 きっちり完走していたアニメ6本を振り返る

 IT土方も4年やれば要領がつかめるのか、それとも業務中の憤怒が脳細胞を活性化させたのかは分からないが、今年は(特に下半期は)かなり前向きに仕事に打ち込んでいた。その分プライベートの時間は確保が難しく、アニメを見れたり見れなかったりが続いた。

 しかし振り返ってみると、今年狙い撃ち的に見た作品はどいつもこいつも当たりというか、満足度が非常に高かった。というか高すぎて秋は「今年はもういいか…」的な飽和状態と化したフシもある。

 これはいいことでもあり、そして悪いことでもある。満足感に浸りすぎて、間近に迫る来年の諸作品まで見送り三振してしまうと、さすがに損失甚だしい。除夜の鐘の音とともに、再び腹をすかせた状態まで回帰するべきなのである。

 というわけで、今年きっちり最終話まで見届けたアニメについて、年末の備忘録としてあらためて書き残しておくとする。

①けものフレンズ

 「2017年はけものフレンズの年である」。そのように後世へ語り継がれても過言ではない一作となった。

 単に今年の開幕打者を務めたことだけが理由ではない。2017年の始まりに生を授かり、2017年の終わりとともに生を終える、そんな数奇な運命をたどった作品として、我々の中に強烈なイメージを残しているからだ。

 

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 もっとも、あくまで「ヤオヨロズが関わるアニメ版けもフレ」が終わるだけであり、むしろ最初から「終わっていた」けもフレプロジェクトが見事に復活したことを思えば、荒れ果てたサバンナを救った英雄として、その「勇退」すら賞賛されるべきものだろう。

 なにより、まず最初に(1話を観た直後にすら!)考察班なる種族が誕生し、サバンナをせっせと開拓しているところへ、無数のフレンズたちが大量移住を果たした、あの一連の過程は未だにおもしろいと感じている。

 

wasasula.hatenablog.com

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  11話〜最終話の阿鼻叫喚、放映終了後の自称難民大量発生、そしてたつき降板騒動によって本物の難民発生と、アニメが終わってからも外野を湧かせ続けた、今年を代表する一作であった。

 それにしたって、「知能指数が下がる」ってフレーズがあんなに流行るなんて、一体誰が予想できたよ。

 

②ガヴリールドロップアウト

 けもフレに並んでしれっとあのクールで完走していたやつ。『うらら迷路帖』とパイを分け合っていたのかどうかわからずじまいだったが、まぁ両方ともえっちだったよね。

 わりかし見れたのは作品全体の力の抜け具合と、各キャラの毒気が強かったところが一因だろうか。女の子には毒素と塩気があった方が味わい深くて長く見られると思っているんですよ。それと、「全体的なノリはらき☆すたを思い出すね」という意見を見かけて、なるほどと。ほぼほぼおしゃべりでメインシナリオ的なものがないあたり、直近では一番原点回帰を果たしていたのかもしれない。

 それにしたってヴィーネがめちゃめちゃかわいかった。かぼちゃになりてえ。

 

③ID-0

 季節は変わって春。振り返ってみてもすさまじく激戦区だったと思うが、最終的にこれ一本に絞る自分がいた。そのぐらい順当におもしろいSF・ロボットアクションだった。

 「意識だけダイブさせて操作するロボット」と「自在に空間転移可能な物質」というガジェットを用意することで、広大な宇宙をテンポよく飛び回る爽快さ、瞬間転移というカードを切る駆け引きの熱さ、機体をバンバン捨て身にするアクロバティックさが生まれていて、「宇宙で戦艦とロボットが戦う」というスタンダードな構図にまるで飽きがこなかったのが印象的。これがフルCGでガォンガォンと動くのだから、視覚刺激も著しく脳に良い。

 敵も味方もいつどこで空間転移するかわからないので、それだけでスリリングで引き締まるんですよね。そして、この二つの要素が話の根幹にみっちり関わってきて、「人間と意識のありかた」というド定番なSFテーマにもスムーズに踏み込んでいくのが鮮やかだった。

 作品の構成もすごい上手で、説明や回想でも描写の圧縮が適切に行われていてテンポ感が削がれず、おまけに毎週毎週引きが絶妙。「これどうなるんだ!?」が12話全部に起こったので視聴意欲が強く維持され、いま思えばこれが完走の一因だったように思う。一本物のシナリオとして、これはとても重要である。それでいてコミカルな要素も多くて、空気が重くなりすぎないちょうどいい塩梅だったのも見逃せない。

 総じて、真新しさは他に譲るかもしれないが、それを補って余りある全体的な完成度がとても心地よい一作だった。ちなみに、Netflix限定配信である。

 あと、一つだけ言わせて。このアニメの子安武人は最高です。

 

④異世界はスマートフォンとともに。

 ちらほらとこのブログでも話題にしたが、やはり完走した。

 

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 11話が異様なバズり方をしたものの、異世界スマホの本質はやはり「典型的なろう異世界転生作品の初めてのアニメ化」に尽きる。 なろうの文法で綴られた、「Web小説の1話」を無数に連ねて編まれる、牧歌的なファンタジー。それが映像として出力された結果を拝めたことに、我々は感謝すべきである。

 もっとも、この作品は12話まで描かれたお話のさらに先が「本領発揮」とも言われており、長期連載の中においてある種のチュートリアルパートが映像化の対象として選ばれてしまったのは、悲劇と言えるかもしれない。Web長期連載作品を映像化することの歪さを浮き彫りにしている……というにはまだ早い。ナイツマは「ナレーションですっ飛ばす」という豪腕をもってサクサクと進めている。

 とはいえ、ノリさえつかめれば毎週楽しく笑えるいい作品だったことは事実なので、先鋒の役割は十分に務めたと言えるだろう。そして、後続の同枠として『賢者の孫』がアニメ化を控えている。我々は備えなければならない。

 ちなみに僕は抱くとしたらユミナがいいです。

 

⑤ひなろじ ~from Luck & Logic~

 2017年の夏において、「百合の劇薬」と呼ばざる得ない『プリンセス・プリンシパル』に対して、「光の百合」とも呼び得るアニメがあった。それが『ひなろじ ~from Luck & Logic~』だ。

 僕の中ではめずらしく「放映クール中に配信済みの1話から一気に最終話まで追いかける」という視聴の仕方をしたのだが*1、結果としては大正解。ケイバーライトでただれた心を見事に癒やしてくれた。

 少し前に放送された『ラクエンロジック』のスピンオフ(というより同一世界観の新作というべきか)なのだが、『ラクエンロジック』の「異世界からの敵を異世界の存在と融合する能力者が倒す」という世界観の先、「敵はいなくなったが能力者だけ残った」という状況を描くのだが、この描き方が本当に絶妙である。

 能力者の養成機関が「強い能力者」ではなく「力を律する優しい能力者」を育てることを重視し、敵を倒すことよりも友人とふれあうことをよしとする世界観は、「異能学園バトルもの」の一歩先を描くと同時に、「美少女がキャッキャする」という構図に強い説得力を与える材料にもなっており、ふわふわに見えて非常に強固なものである。また、舞台となる学園には「能力者ではない生徒」も存在するが、彼らが虐げられることはなく、むしろ「能力者と非能力者」が対等の関係として共存することを模索するというアプローチ取られている。

 強大な百合をもたらすメインキャラたちも、「強くなること」以外の悩みを有しており、そこから掘り下げられるキャラクター像はとても鮮やかである。その一旦として、「親愛」としての「百合」を描く上で欠かせない「友情」の描写は、朗らかでありながらシビア。「才能に無頓着な天才」であるリオンと、「強さを求めるエリート」であるニーナとの間で描かれる、「互いの才能を通じて揺れ動く友情」 の物語は、「ただのTCG販促アニメ」とナメてかかるとすさまじい火傷するほどに重厚である。その先に待つのが「年越しの瞬間に女と女がキスをする」という爆薬であり、その破壊力は推して知るべし。

 雛鳥のようにあどけない姿でありながら、骨子は大鷲のように雄大。よい意味で看板を裏切ってくれる、2017年の夏を語るには欠かせない秀作だった。

 

⑥プリンセス・プリンシパル

 もはや語るまい。というか以下に全て書いた。

 

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 嘘と親愛と罪悪感で彩られたスチームパンク・ハードボイルド・スパイアクション・百合コンテンツ。全身に染み込んだ蜂蜜が時間差で起爆し、心身を塵芥も残さず粉砕していく、2017年における個人的最優秀賞作品だ。 

 冗談抜きで、このアニメを全て見届けた時に思った。「俺の理想のアニメと遂に出会えた」と。いまから死んで異世界転生するハメになっても悔いはない。そのぐらい全てが自分にマッチしていた。売上的にも比較的上々と聞いており、しっかり作られた骨太なオリジナルアニメが具体的な形として評価されているのは、リアタイで追っかけた一ファンとして素直に嬉しい。

 おかげで秋はまるでアニメを見なかったといっても過言ではない。今年の半分はプリプリに生かされたということだ。その罪も含めて、末恐ろしいことこの上ない。

 ちなみに上掲記事のあとに「アンジェとプリンセスにおける『親愛』と『罪悪感』」という観点で書き殴ろうと思ったのだが、「ププのアプ」から先に言葉を上手につむげずお蔵入りとなった。そして公式からの供給は毎回致死毒です。

 

 

 ……というように、今年完走したのは6本だけである。1クールだけで6作品踏破した2015年の冬がいかに異常だったかようやくわかってきた。

 兎にも角にも僕の中ではプリプリの比重がとてつもなくデカくなった一年になってしまい、善きことかなと思いつつも自省すべき点でもある。『少女終末旅行』もチラホラ見ていて、所属界隈的には『アニメガタリズ』も見るべきな秋だっただけに。あとはワンチャン人類史に名を残すであろう『ダイナミックコード』も。

 とはいえ、あまり焦りながらアニメを見るのも得策ではないので、来年も気楽に新たな来訪者を迎え入れるようにしていこうと思う。

 

 そう思いながらひっそりと来季の確認をしていると、『カードキャプターさくら クリアカード編』の文字列。彼方より過去から、最強の刺客がゆっくりと近づいている。

*1:というのもWeb配信が地上波放映よりも早いという不思議な特徴を有しており、9月の半ばには全話完走可能という状態にあった。