うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

「小説家になろう」で一ヶ月半ほど、異世界転生小説を連載してみた件について

 観察や憶測だけではわからないことがある。実践を経ることによって、初めて認知し、理解することがらが、この世にはたくさん存在する。

 『小説家になろう』もそうである。インターネッツを跋扈するおぞましきうわさや、実際に諸作品からただようドス黒い輝き、そして書店を席巻する書籍化作品やアニメ化ラッシュ……そうした周辺情報から、この最先端の魔境について、あれこれと思索を巡らせることができる。

 が、やはりそれだけでは足りない。実際に、この魔境を「書き手」として歩いてみなければ、分からないことがあるのではないか――それが、5月の半ばに僕が抱いた疑念であり、そして決心であった。

 

 という流れで始めてみた、小説家になろうでの異世界転生モノ連載だったが、先日、区切りの良いところまで到達したため、作品のステータスを「完結済み」に設定した。

 

ncode.syosetu.com


 この一ヶ月半ほどの「なろう連載」体験は、身も蓋もない言い方をすれば「未知の連続」であり、そして「小説家になろうの生態系」を肌で感じることができた、とても有意義なものとなった。

 同時に、連載という形式特有の大変なこと、予め備えておくべきことも身をもって味わい、半年以上も連載を続ける作品が、いかなる努力の上に立っているのか実感を得るに至った次第だ。

 以下では、ちょっぴりと体験した「なろう連載」にてわかったことなどを、さらにつらつらと書き記していく。

 

 

概況

 書き始めたきっかけは以下を読んでいただけると幸いだ。ちなみにこの場で要約すると「出オチ」である。

wasasula.hatenablog.com

 

 それから1ヶ月半、連載を終えた今の作品情報(2017/7/9時点)はご覧のようになっている。

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 大したスコアではないが、141人もブクマしていただいたこと、13人も評価をつけていったこと、4人も感想を残されていったこと、いずれも純粋に恐れ多い気持ちになっている。ちなみにユニークPVは10,322人なんだとか。

 ちなみに、毎日きちんと更新できているわけではなく、最大で4日ほど更新間隔が開いている。これについては後述。

 

フォーマットに従って書くということ

 「その日見たニュースから出オチ気味に書き始める」というスタートだったので、そもそも1話から先に続くかどうか見当がつかなかった。「1話目とタイトルで全部回収しちゃってるよね」という指摘もあって「その通り…!」としか言えない始末である。

 では出オチでエタらせるか。熟考した末に出た答えは「どうせなら徹底してテンプレにしよう」であった。

 以降、異世界転生テンプレをひたすらなぞる形で話を作っていったのだが、これが意外とおもしろかった、というのが最も意外な発見であった。

 テンプレとは、(よほどのことがない限り)一定以上の意外性は期待できない様式である。しかしその実、一定のお楽しみ要素を確実に一定量盛り込める、非常に効率の良い様式である。奇をてらって大爆死、という惨事を招くよりかは、堅実で読者思いのフォーマットである。

 そして、「テンプレをなぞる」を実施する前、そのやり方には作者の自由意志は介在しないように思っていたが、むしろ創作意欲をフル活動させるやり方だった、というのも個人的な発見の一つだった。

 使える枠の形は決まっているが、枠に詰め込む食材の種類や、詰め込む順番などは、書き手に一任されており、その試行錯誤が想像以上に楽しい。「どうやってヒロインを惚れさせるか?」「チートはどう使わせるか?」といったことに悩むのは、存外におもしろい、ということである。

 なろうテンプレなぞりは、手っ取り早く読者を釣り上げるための手法でもあるが、ある種の詰将棋としても活用可能だ。その点においては、毛嫌いせずに一度はやってみると、なにか得られるものがあるかもしれない。

 もっとも、「テンプレしか踏めない」という制約は、人によっては長く続けると無表情になる気もする。実際、僕自身も「一回めちゃくちゃにしてえ」という破壊願望が何回か芽吹いた。わるい人間である。

 

「テンプレでも連載が楽なわけないじゃない」

  さて、「なろう連載」を開始する前にもう一つ抱いていた偏見として「テンプレなんだから連載は楽でしょ」というものがあった。全く間違いである。「一定量の小説を連日書き続ける」という行為の負荷はテンプレだろうと楽ではなかった。

 更新文量はだいたい2000〜3000字の範囲だが、これをコンスタントに毎日書き続ける、というのは一定の体力と時間を要する。どちらか欠けるだけでも実現がむつかしい。

 実際、僕も「毎日定期更新」は12日目で途絶えている。主な原因は「仕事がクソ忙しかった」「体調を崩した」「土日に丸一日友人と遊んでいた」である。まぁ人間ですからね。時には連載を放置してFGO走ったりとかしますよ。

 しかし、それは作者の事情。読者にとっては「なるたけ毎日更新してほしい」が切実な願望である。これは作品のブクマにも反映されがちで、すなわち数日更新を空けるとちょっとだけブクマが減る。このあたり、データというよりナマモノを相手にしている感覚が強く、だからこそ「なるたけ連載したいね」という気概が生まれるきっかけになった。

 時折間隔を空けつつ36話を投函した今思うのは、「連載開始時点で5〜7話ほど書き溜めているとリカバリがききやすそう」である。そして実際、公開中の作品には「◯◯字書き溜めた状態で始めてます」という但し書きもチラホラ見かける。

 やはり文章を書くという行為は運動である。体力は継続した鍛錬でしか身につかない。

 

ゲーム感覚な即興連載

 上記から察せられるかもしれないが、拙作はほとんど即興でお話を考えていた。

 大筋こそある程度組んでみたものの、細かいアクションやセリフは完全にその場で思いついていたし、設定やキャラクターも思いつきで仕込むケースが多かった。「あれ?このキャラの容姿、どうしてたっけ」と読み返す事態も頻発していた。思えば滑稽である。

 もっとも、なろう的世界観――すなわち「ほとんどゲーム的ファンタジー」な舞台で、即興でストーリーを考えるというのは、その実「小説を書く」というより「RPGをプレイする」という感覚であり、「楽しく悩む」という状態だった。「なろう小説って小説というより架空の実況プレイだよね〜」とは以前から仮説として思い抱いていたが、まさか実作体験でそれを証明しようとは夢にも思わなかった。

 こういう書き方を今までしたことがなかったので、これは新鮮で、ワクワクする体験になった。裏を返せば「行き当たりばったり」であり、きっちりと設定・シナリオを組み立ててから書くことも必要ではあるのだが、殊になろうにおいては、このくらい気軽に書いてもよいのではと思った次第だ。だからこそ「なんだこれは」と狼狽するような逸品もスコップされるのだろうけど。

 

需要に素直な評点

 さて、更新中にひとつおもしろい事象を確認した。ムフフな展開を仕込んだ更新にアクセスが集中しやすいという事象である。

 ざっくりと書くと、主人公とヒロインがセックスするシーンを(半ば勢いで)設置したのだが、その回のアクセス数が妙に多い。他にもイチャイチャするシーンがあると、アクセス数が妙に多い。逆に、ヒロインが死にかけるシーンを(ほぼ個人的な趣向で)盛り込んだ更新は、そこまで……という動きをしていた。

 それと、なぜか文字数が重なって、「緊張するシーン」が何本も続く事態になった時よりかは、一発イチャイチャを仕込んだ時の方が、アクセス数が伸びたり、ブクマがついたりするように感じられた。

 なろうはストレスレスな展開が好まれる環境である。かわいい女の子とキャッキャウフフする展開ならばなおさらだ。これは、様々な更新作品を見ていて得た体感だったが、今回書く側に回ってみて、恐ろしいほど強く実感した次第だ。

 このあたり、ちゃんと記録とっておけばよかったなぁ、と反省しているところ。これを検証するために、「一話完結を徹底した」「イチャイチャ要素とTUEEE要素しかないおはなし」を作って、時折そうでない話を混ぜ込むことでアクセス数、ブクマ数がどう変動するか、観察してみたい。

 

「えっちなシーンを書くのがすき」という己が本質

 そしてもう一つ遭遇した、おもしろいと同時に、僕自身には(良くも悪くも)強いショックだったことがある。「自分はえっちなシーンを書くのがすき」という、どうしようもない特性である。

 今回、「とにかく安直に主人公に惚れる女を作ろう」ということでメインヒロインを設定した。盛り込んだ要素は、

  • 女騎士(装甲は少ない)
  • 金髪ロング
  • おっぱいがでかい
  • えっちなことに興味津々
  • 惚れっぽい
  • 夢見がち

 といったところで、「出会った瞬間に即セックス」くらいの調整をしてみた。「なろうは会って数話で股を開くヒロインが跋扈する」という認識から逆算的に組み立てていった次第だ。

 このメインヒロインで、あれこれえっちなシーンを書くのが楽しくて楽しくて仕方がなかったのである。

 ヤケクソなラッキースケベからのさらにスケベ、さらにヒロインからの無垢でえっちなお誘い、夜這い……とにかくアホみたいにスケベをさせたが、このシーンを書いている時が一番筆のノリが良かった。「これが俺が好きで書けるものかもしれねえ」という、あまりにもあんまりな悟りであった。

 この自分の特性に気づいてしまったのは、悲しくもあるが、此度の「なろう連載」での一番の収穫だったに違いない。僕にもなろうで生きる上での素養があるかもしれないのである。

 とはいえ、それが最も活用できるのは言うまでもなく発禁媒体。すでに数人の知り合いに「なんでノクターンで連載しなかったの?」と突っ込まれている通り、内容的にはノクターンで本番までバンバカ描いちゃうのがよかったかもしれない。ノクターンにR18パッチを用意する手はあるが、さーて気乗りするのはいつになるやら。

 これは今後の課題として、えっちなシーンを執筆する訓練はさらに積んでいこうとは思う。「萌え萌えでえっちなラブラブ生活(死臭漂う表現)」を、息をするように生み出せる力を身に着けたい。

 

「小説を書く」ことに対する意識の変化

 当たり前ではあるが、この作品を書籍化しようなどという野心はまるでない。そんなクオリティなどないと思っている。

 そう前置きした上で言えるのは、「小説を書くことはたのしい」という、数年越しの気づきがあったということである。

 もともと大学時代からそこそこ物書きごっこをしてはいたが、「小説は悩みながら書くものでは」という意識の偏りがあった。実際はそんなことはなく、こんなちゃらんぽらんな執筆でも楽しめることが今回よくわかった。無駄にキスさせちゃうシーン入れたりとかね。悩むより書き進めるのが善い。

 そんな心理的なハードルはもちろん、ツール面でもだいぶハードルが下がった。小説はEvernoteからスマホでも書ける。PCでWordを開くことでしか書けないわけない。そんなハードルを勝手に持っていたのは恥ずかしい限りだが、これを改めるきっかけになったことは、とても僥倖であった。

 なんでしょう、趣味で小説を書くって、やっぱ純粋に楽しんだと思うんですよ。それがうっかり書籍化してしまう可能性も出てきている。恐ろしくもあるが、夢のある話でもある。

 

 

 とりあえず以上が、「なろう連載」をやってみて気づいたことなどのあらましである。

 今後どうするかという話だが、『痴漢冤罪転生』はなにかネタが出てくるまでは寝かしておこうと思う。ぶっちゃけどうにでもできるので、アイデアと性欲がまとめて降ってきたら書き溜めておこうとは考えている。

 それと、連載中にテンプレ具合に嫌気が差して、現実逃避気味に思いついたネタもあるのだが、これらもどうするかという話だ。なろうに関する文献では、「一気に複数のネタを投下し、ヒットしたやつを長期連載へ持っていく」という「書籍化へのメソッド」が記されている。それをやるか……?という話だが、書き溜めが大変そうでもある。あとは、全くなろう方式ではないやつをカクヨムに投げたさもある。

 とにかく気楽に、書きたいことを書いてみたい。それは、他ならぬこのブログで徹底したことだが、それをフィクションという部門でもやっていきたい。2017年後半の目標になれば幸いだろう。

 

 そして、一つだけ言えるのは、「みんなもお気軽になろうで連載してみようぜ」ということである。大丈夫、割とワイワイとやっても、異世界は渡り歩ける。

 

 それと余談ではあるが、「ヒロインをカスタムメイド3D2でエディットしてくれ」という要望が某氏から投げられたので、連載一旦完結祝いとして公開しておく。

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 こんな感じのおっぱいおっきい女の子が、異世界に転生してきた男に一瞬で惚れてセックスまでいくなろう小説でした。あわよくばシコれ!!!!!!!!!!