うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

「小説家になろう」ハイファンランキング観察日記(4/17~4/23)

 先週から「小説家になろう」のランキング観察を始めた。

 きっかけはこちらでも取り上げた『WEB作家でプロになる!』なる書籍。この本の一節に、「なろうで覇権を握るならランキング作品をマネろ」という「書籍化への助言」が記されていたのである。

 模造品の大量生産、おぉ、なんたる地獄か! というのは冗談として、つまるところランキングはその時節の流行を如実に映し、そして流行に沿った「フォロワー作品」を作れば、流行に乗せたヒットが期待できるということである。まさに市場調査だ。なろうはそのくらいビジネスライクな戦場である、というのが上掲の本の主題でもある。

 とはいえ、本を流し見た程度では「という与太話がありました」で終わってしまう。真実はアマゾンの奥地に眠っている。真実を知りたくば、藤岡弘、になるしかないのだ。

 というわけで、遠くから眺めてそろそろ2年ほど経つ「小説家になろう」を、新年度より真面目に観察してみよう、という試みである。

 

ランキング概観

 とりあえず、毎日23時に日間ランキングと週間ランキングを確認し、上位20位までを記録、という作業を4/17~4/23まで実施した。ちょうど7日分である。Excelに雑にまとめた記録は以下。自分メモ用なので整形は特にしていない。

 

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表1. 日間ランキング(4/17~4/23)

 

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表2. 週間ランキング(4/17~4/23)

 

 手打ち記録なのでもしかするとミスってるかもしれない。どこかでランキングまとめてるサイトとかありそうだし、そもそもスクレイピング組めよという話ではあるが、観察は手を動かすことによってもなりたつと思うので、この下策は当面続けてみる。

 

トレンド「現地の冴えないおじさんが無双だぜ」

 なろうを長期ウォッチしているわけではないので、どの作品が新顔か、あるいは古株の長期連載かは、タイトルだけでは判別がつかない状態だった。が、4/20までは(記録圏外の21位以下含め)似たような顔ぶれが、日々順位を移動する様相を示していた。

 そんな中、4/21に颯爽と新顔が現れ、翌日と翌々日の日間1位をかっさらっていった。それがこの作品だ。

ncode.syosetu.com

 上掲の本では「最近のトレンドは現地人の無双なんすよ~」という証言も載っていたが、この作品はまさにそのお手本みたいなシロモノだ。

 42歳の冴えない冒険者のおじさんが、うっかり酒の勢いで神剣を引き抜き、若返って神剣補正で強くなって性欲旺盛になったから、英雄学校(!)へ入学しにいくぜ!

 まさに転生者から現地人へスイッチしたシンデレラストーリーである。

 文章も一人称視点で軽妙、会話文多めで、あまり余計な描写は無く、普通に上手な文章運び。さらにお作法といわんばかりにゲーム的ステータスが出てくる。一定ラインの質と流行、そして作法を担保した、1位も納得の仕上がりだ。

 この作品の登場は「流行にガンガン乗せればPVが期待できる」という話を、これ以上となく実証する、よいイベントだった。これ自体がなろう小説の3話ぐらいの最初の見せ場って感じでもある。

 というわけで、今すぐなろうで覇権を握りたいなら、冴えない男を英雄にしちゃうのが手っ取り早い(かもしれない)。それは、現実で疲れ切ったサラリマンたちにとって、これ以上とないダイレクトな夢物語になり得るだろう*1

 

 ちなみに「じゃあ転生はオワコンなのか」という話だが、そもそもなろうはランキングシステムが刷新され、異世界転生は独自ジャンルへ隔離、ランキングページで看板として表示されるのが現地人モノ、いわゆる「ハイ・ファンタジー」となっているため、アクセス流量に差が出ているというのが実情だ。実際、異世界転生も集計はしているが、ポイント数が現地人モノにかなり差をつけられている。

 

妖怪「タイトル突然変更」の実在

 上掲の本で一番のマユツバだった記述は「ウケなかったらウケやすいタイトルに変えればいい」「みんなバンバンタイトルは変えてる」というもの。

 商業作品と違うとはいえ、そんな出世魚みたいにタイトルを変える小説なんてあるものかよ、とは思っていた。しかし、実際に目の前に現れたのだ。それも1週間で3作品、上位20位以内で、だ。

 タイトル変更を確認したものを以下に記す。

 

【変更前】

  • 座敷わらしと開拓ごはん!~荒廃世界に笑顔振りまく幸せ都市計画~
  • 生徒がインフレしすぎそうですが、絶対平和に暮らしてみせます~賢者の子の《家庭教師》~
  • 剣豪幼女無双録

 

【変更後】

  • 座敷わらしと開拓ごはん!~妖怪を仲間にするには『スキル:霊感A+』が必要です~
  • 失伝魔法で生徒がインフレしすぎそうですが、絶対平和に暮らしてみせます ~賢者の子の《家庭教師》~
  • 剣豪幼女と十三の呪い

 

 大きく変わったというよりは、細かな「作品の特徴」へ置換、ないし付加が主である。

 「荒廃世界に笑顔振りまく幸せ都市計画」というふわっとしたキャッチコピーよりも、「妖怪を仲間にするには『スキル:霊感A+』が必要です」という具体性が、看板には必要ということだろう。魔法は魔法でも「失伝魔法」でオトク感をつけることも忘れてはいけない。単に「無双録」では味気ないかもしれないので、「十三の呪い」というより明確な目的を添えてやることも大切だ。

 ……という心理が働いているかどうかは、作者様のみぞ知るところである。しかし、リアルタイムで「タイトルが変わる」という現象を目撃できたことは素直によろこばしいというか、「ラピュタは本当にあったんだ!」的な興奮が感じられた。

 タイトルは看板である。そして、看板は明瞭であることが求められる。なろうというサバンナで生きる掟を噛み締めた次第だ。

 

 

 とりあえず初週はこんな感じだ。いつまで続けるかわからないが、最低でも1ヶ月は続けてみたい。本ブログには週次報告を掲載していこうと思う。気張らないメモ書きとして。

 その観察の成果として僕自身がなろうデビューするかどうかは……その時の気分次第。とはいえ、なんとなく「これ書いてみたいかも」というものはあったりするので、まぁそれこそ「酒の勢い」でやるかやらないか気楽にやろうとは思う。作品のクローズもまた同様に。

 

 

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*1:『万年Dランク~』は、身体が悲鳴を上げてゴブリンもまともに倒せない中年冒険者の悲哀から物語が始まるため、なおさら感情移入しやすいとも思う。