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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

「『フリップフラッパーズ』トークショー 〜ピュアライブ〜」まとめ 後篇

(前篇はこちら)

wasasula.hatenablog.com

 

 前半戦が終わって15分ほどの休憩。この時点で20時半。会場もいろんな意味で温まっていた。

 ゲストは控室へ引っ込んでいたが、司会の永谷さんだけその場にいて場を繋いでいた。「今日みんなどこから来たの?」と話を振ると、なんと福岡から参戦してきた女性が一人いた。これにはただただ圧巻である。

 というわけで、以下から後半戦のログである。なお、通番は前篇からの続き。

 

 9. 最終話のパピカの話

 後半戦の開幕は、M・A・Oさんに対して「フリフラの世界観ってわかった?」という質問を投げるところから始まった。そこから、彼女が「あまりよくわからなかった」という、最終話のパピカのシーンについての話題となった。

永谷「あのシーンのパピカってどこにいたんですか?」

押山「あまり決めたくはないですね。ピュアイリュージョンのルールとかも、決めないようにしているので。パピカはあそこで、赤ん坊からおばあちゃんになる、というのを繰り返していて、たまたまココナに出会った。その、ココナとの出会いこそが重要なので」

M・A・O「私もあそこは本当にわからなかったんですけど、きっと精神的ななにか、かなって。フィーリングでしたけど……」

押山「イメージとしては……ゲームの名前出していいかわからないんですけど、クロノ・トリガーの、セーブポイントになる『世界の中間点』ですね。そういう狭間にいるみたいな」

永谷「すると、ピュアイリュージョンではなかった!?」

押山「いやいやそんなことはないです。全部ピュアイリュージョンですよ」

 この「敢えて決めない」というスタンスはフリフラらしいところ。そんな不定形なイメージが 、ピュアイリュージョンを一番強く表現している感じではある。

 ちなみに最終話のこのシーンについては、メガミマガジンのインタビューだと「ピュアイリュージョンの狭間」と監督自身が表現していて、「時間や空間が不安定なところ」「パピカの記憶などがリセットされた」「ココナは幽体離脱してピュアイリュージョンにやってきてパピカと会った」「のではないか」と述べている。

 

10. 好きなシーンは?

 初っ端からなかなか飛ばしてきたので、次の話題も半休憩として「みんなの好きなシーンなんですか?」となった。登壇者の好きなシーンは以下の通り。

  • 吉江さん:2話。アイデア出ししていた回でもあったし、話が動き出すような回で気に入っている。
  • ミトさん:3話。あの回の劇伴で初めてメタルを作り、それがうまい具合に劇中で使われていることに驚きをおぼえた。
  • M・A・Oさん:9話。やはりパピカとヤヤカのやりとりがすごい。あとぶーちゃんに針を刺す双子も好き。
  • 小島総作監:1話。実は毎カット絵が違っていたりして、初々しさを感じて思い出深い。ちなみに作画としては3話、お話としては9話がお気に入り。
  • 押山監督:6話。シナリオの段階で指示出しが多かった。というのも実体験モチーフがあって、おばちゃんは実在人物、「絵を描ける、描けない」の葛藤・屈折も実体験に近い。
  • 永谷さん:5話。事前に見ていたシナリオと、実際に上がってきたもののギャップが大きかった。(「ホラーって話を作る時点では特に怖くないのにね!」とのこと)

 意外とバラけるものだなと感じた。そして製作スタッフごとに「思い出深い」の着眼点が違うのは、当たり前だけど実際に見るとなかなか興味深かったり。

 

11. 「パピカ」という名前について

 ふと、「パピカ」という名前について話題がシフトした。

永谷「パピカ、っていう名前ね。はじめは無国籍感強すぎない?とは思ったんですけど。監督はなにか思い入れは?」

押山「いや、特には。まぁ不思議ちゃんって感じですよね」

永谷「パピカという名前が特殊なので、当時はココナ、ヤヤカも変えるべきでは?という話にもなりましたね。丸が多いのは危険じゃないか、って」

 M・A・Oさんも最初「パピカ」という名前には首をかしげていたそうな。そんな中でミトさんは「そういやパピカナになると、乳でっかくなるんですよね」と発言し、爆笑が発生した。

 

12. フリフラ合宿

 プリプロが煮詰まっていた中、「プリプロ進まないから山奥で合宿するぞ」という誰かの一声によって、笑ってはいけないシリーズだとかTRICKの撮影が行われたとかいう山奥の旅館にて、スタッフ陣の合宿が行われた、という話もあがった。

 電話もつながらない山奥だったらしいが、そんな中、永谷さんは入浴中に「窓の外」から人の気配を感じたが、他の人は感じないという珍事が。翌朝、「窓の外」を見てみると、そこは崖下に川が流れていた……

 などという怪談話があったらしい。この体験が、永谷さんに「ホラー回しましょう」と言わせる契機になったらしい。まさかの5話誕生秘話だった。

 

13. 音楽の話

 再び話題は、監督の趣味である音楽の話に。「実は『パピカとココナでピュアイリュージョンにバランス接続している』『パピカココナヤヤカは光の三原則』なんて裏設定があります」という監督の暴露から、作中で使われている楽器の話題になった。

 ミト「監督から「ディジュリドゥを使いたい」ってリクエストがあったんですよね。そんなトライバルな楽器を……と驚きましたよね」

押山「5話の「ごきげんよう」ですね。最初は口琴だったんですけど、おもしろすぎたのでディジュリドゥに変えました」 

 ちなみにその場で監督による口琴実演があったが、「ビヨヨヨヨ〜ン」という音色はたしかに完全にギャグだった。

 なお、ミトさんの奥さんは、この手のトライバルな楽器ばかり使うバンドをやっているらしく、そのおかげで監督からのトライバル楽器オーダーなども「あぁあれですね」と対応できたのだとか。

吉江「(TO-MASの)(伊藤)真澄さんが、終わった後「疲れた」と言ってたんですよ。めったにそんなこと言わないあの人が」

永谷「その分、いいものができた?」

押山「劇伴すげえいいなって思いました。こういう楽器、知ってる人いないんでどうかなーと思っていたんですけど、みんな話が分かるんだなって。素晴らしいプロフェッショナルと出会えたと思いました」

ミト「これ、他の現場だったら事故です(笑)」

 聞いてもなにもわからないような楽器名が乱舞する音楽トークだった。TO-MASを起用した吉江Pのナイスプレーもうかがえる一幕である。

 

14. OP・EDについて

 音楽の話題ということで、OP・EDについても話がふれられた。

 まずはOPの話。ZAQを起用したのは吉江さんだったのだとか。

TVアニメ『フリップフラッパーズ』OP主題歌「Serendipity」

TVアニメ『フリップフラッパーズ』OP主題歌「Serendipity」

 

吉江「このアニメを支えられるのはZAQだろうと。彼女も天才なんですよ。一人でアニソンの常識をぶち壊しまくってる人なんで。そしてZAQ側も「かわいい曲がほしい」とのことだったので、話はすぐに決まりました」

永谷「監督はこのOPソング聞いてどう思われました?」

押山「すんごいかっこいい曲だなぁと。って、よく考えたら、かわいい曲……?」

永谷「うん、それは思った(笑)」

 そんなかわいい(でもかっこいい)OPに、あのOPムービーが与えられたのだが、その映像コンセプトも監督は話していた。曰く、「本編はビビッドな色彩が多いので、対称的に少し暗めに、実写っぽくした」とのこと。たしかに。

www.youtube.com

 

 次にEDについて。これも吉江さんは「TO-MASに丸投げしかない」と述べていて、ミトさんも「投げられた気がします」と笑っていた。

TVアニメ『フリップフラッパーズ』ED主題歌「FLIP FLAP FLIP FLAP」

TVアニメ『フリップフラッパーズ』ED主題歌「FLIP FLAP FLIP FLAP」

  • アーティスト: TO-MAS feat.Chima,松井洋平,TO-MAS,TO-MAS feat.パピカ(M・A・O)&ココナ(高橋未奈美)
  • 出版社/メーカー: ランティス
  • 発売日: 2016/11/09
  • メディア: CD
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 この曲、最初はもうちょっとふわっとしていたけども、後にChimaさんがタイアップする際に「少し違うな」という話になり、現在の曲調へリテイクしたのだとか。

 監督はこの曲を「こわい、かわいい、たのしい、というオーダーが形になってた」と述べつつ、リピートアニメーションが特徴的なあの映像についても触れた。

押山「最初は止め絵だけでいいかなと思うくらいに現場が困窮してたんですけど、いざ曲を聞いてみると、やっぱアニメーションほしいよねとなって、急遽作りました。200枚以上使うな、というオーダーがあったので、その中でやりくりするのが大変でしたね」

 ちなみに、映像は「ヘンゼルとグレーテル」をイメージしていて、実は最終話も「ヘンゼルとグレーテル」なピュアイリュージョンに行く予定だったのだそうだ。しかし、後半に伏線を回収していくと尺が足りない。だけども、監督の中では「EDも本編」という認識だったので、最終話でEDはカットせず、EDが終わった後に「おしまい」という絵を入れたのも「ここまで本編」という意識があったからなのだとか。

 

15. 質問コーナー

 ここまで話し終え、最後にプレゼント抽選会が控えてる中で、開始時に募集していた質問への回答コーナーとなった。

 

①「ぶーちゃんの脳みそはなんですか?」

 監督曰く「こたえられない」。

 

②「変身後のイメージはなんですか?」

 小島総作監曰く、「よく言われる、太もものグラデーションは衣装と身体の一体感を表現するための記号みたいなもの。モチーフは、かわいい。あと、ちょうちょ」とのこと。

 そこから監督へパスされ、「髪の毛が伸びるのは、ミミの力をもらっているから」「ちょうちょは二人の成長のメタファー」「目の中のデザインはバランス接続のコネクタ」などの小話が。

 ちなみに、ミミの欠片は108個ある設定らしい。恐ろしい煩悩もあったものである。

 

③「1話のアバンで倒れてた人は?」

 監督によれば、「企画段階でいた欠番候補というキャラを再利用した」とのことで、その後死ぬことなどなく、おうちに帰ったそうです。

 

④「7話でソルトの引き出しの中に爪切りが入っていた意図は?」

 脚本会議で「ソルトの引き出しの中になにが入っているか?」という話になり、「拳銃」とかが挙がる中で吉江さんが「爪切り」と言ったのがウケたらしく、そのまま採用されたのだとか。

 

⑤「M・A・Oさんが一番かわいいと思うパピカのセリフを実演お願いします!」

 「質問じゃねーだろ!」というツッコミもありつつ、M・A・Oさん、しっかりやってくれました。「むふぅ〜」っていうパピカのあの鳴き声。

 曰く、あの手の感嘆符は全て台本通りで、「パピカは言っちゃっていいです」という監督の謎のオーダーがあったそうな。「ガジガジ」「クンクン」とか。実際かわいい。

 

⑥「最終回の幼いパピカの作画にこだわりを感じたけど誰の差し金?」

 監督が名乗り出た。「体のラインにはリアリティがほしいので、発達途中の肉体美は記号化したくなかった」とのこと。ちなみに「ココナは安産タイプで、パピカは胸が大きくなる」のだとか。「そういう性癖ではない?」「ちがいます」

 

⑦「インフィニットのBlu-rayセットはお買い得ですか?」

 すげーぶっこんだ質問である。これには永谷さんが回答。曰く、「利幅は少ない」とのことで、「あまり還元にはならないかもよ!他のグッズならいいよ!」などとおっしゃっていた。

 どんなやつだろうと思い後日調べてみたところ、

www.infinitedayo.jp

 これのことかしら? 複製原画つきかぁ…いいなぁ…

 

⑧「同業者からの反応はどうですか?」

 これは登壇者各位がそれぞれ回答していた。

永谷「『○○見てます』と言われた。めったに言われないんですよ」

小島「そこそこ反応があった。あと、両親からも」

押山「モブサイコのONEさんから見ているとTwitterで言われた。あとは定期的にエゴサしてました。なにせ人と触れ合う機会がなかったので…」

吉江「大学時代のアニサーの飲み会で、副監督やってる人がめっちゃ気にしてた。押山監督作品がどう成立するか気になる、と」

 ちなみに永谷さんは「メーカー筋からは大変そう(=利益きつそう)?」とも言っていた。

 

⑨「ミトさんに。EDが好きですが、ブックレットに「みんなのうたがイメージ」という記述があったのですが、やはりヒントになりました?」

 ミトさんによれば「みんなのうたはたしかに企画で出てた」とのこと。ただし、最初のPVで使用していた曲は継承しているのだとか。

 

⑩「7話のパピトとココナのやりとりが、ココナのヤヤカとの回想に似てる。関連は?」

 監督曰く「特に合わせたわけではない。結果的に似てた」とのこと。

 

⑪「脚本の綾奈ゆにこさんからコンセプト指示はありましたか?」

 これは確かに気になってた。以下は永谷さんと監督の会話。

永谷「基本的には監督との共同作業でしたね」

押山「9話以降は深刻な話になるけど、それを前半に描くと視聴者がついていけない懸念があった。だから前半(8話まで)はメタファーでひっそりと描くように。そのあたりの構成は初期から決まりきってましたね」

永谷「8話まではバラエティ枠って感じで」

監督「ただ、後半に説明回が多いのもあれなので、それは11話にまとめました」

 このあたりの構成面での話は、メガミマガジンにも記載があったので、気になる人はぜひ一読すべし。

 

⑫「メガミマガジンに、綾奈ゆにこさんから百合のなんたるかを教えてもらったとありましたが、具体的にはどんなことを学びましたか? ちなみに登壇者のみなさんが「百合だ!」と思うシーンあれば教えてください」

 すいません、僕の質問です。

押山「同世代の男を近づけるな、ですね。女の子の花園に異性を入れると壊れてしまうので、そこは特に意図してた。ゲストにも気を使っていて、例えば8話のオッチャンが危なかった。最初は「オッサン」だったんですけど、2話の「緑色の紳士」がかぶるので、それを若返らせたんですよね。どこかには同年代の男の子はほしかった。ただ、背丈だけちっちゃくした。これなら対等じゃない!」

 では、各々の百合と認知したシーンは……?

永谷「定義がむずいけど、土管のにじりより(1話と13話)の距離感ですね。これ、シーンとして重ねた意図は?」

監督「パピカとココナの出会いをもう一度描けば、ふたりの絆は再構築されるよね、という感じです。あとコスト削減の面でも」

永谷「それ以上いけない」

 なお、永谷さんは話しぶりからすると百合には一家言ありそうな様子だった。「最終的には『俺の百合』にはなるよねー」と言いつつ、「フリフラから百合は感じ取れた?」という質問を投げ、参加者一同手を挙げる一幕も。

 他にも、吉江さんは「5話はその意味で典型的。あれをまとめたのは監督ならでは」と言っていた。

 

 上記以外にも質問はあったが、多くは①と同様に「こたえられない」とのことだった。

 

16. エンドロール

 時は22時半。抽選会の後、「そろそろ巻けというお達しが(笑)」という司会の一声で、トークショーは締めへと向かった。

 話し足りていないこととして、押山監督が「小島崇史という男がいかにすごいか」と語ったり、「パピカとココナの話は描ききれた?」という吉江さんの問いかけに対し、「続編を匂わせる形にするつもりはなかった。でもピュアイリュージョンを全て描ききれたとは思っていない」と監督は語っていた。「どこまで説明するかは、当初からのテーマだったね」とは永谷さんの言葉。

 そんなこんなで和気藹々という感じで、あれっこれまだ数時間やれるんじゃね?みたいな空気だったことはおぼえている。そんな会場を察したのか、登壇者から提案が投げられた。

 「第2回、やりますか」と。

 

 というわけで、なにやら第2回ピュアライブの気運が生まれつつある。もちろん、次回もあったら絶対参加する。あちらも語り足りず、こちらも聞き足りないなら、もう一度ロフトプラスワンに集うのは自明であろう。