うらがみらいぶらり

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綾が紡ぐ「最初のきんいろの日々」 ~『きんいろモザイク Pretty Days』感想~

 『きんいろモザイク Pretty Days』を観てきた。あのモザシコで燃え上がったハローの春からも1年。ひさびさのきんいろの光を前に、僕はこうなっていた。

 本編のエッセンスをぎゅっと凝縮した上で、忍・綾・陽子の中学時代を描き、きんモザ時空にさらに奥行きを与えていく。そして、その奥行きが現在の関係性を担保する。まさにTV版の総決算といった出来栄えで、率直に言ってとても感心してしまった。

 加えて、種田梨沙の出演作として、直近ではおそらく最新作になるわけだけど、ひさびさに聞いた種田梨沙ボイスがあややポエムとなる経験は、心をえぐってくるものがある。

 綾だからこそ許される独白ポエム。これが本作の回想構成といい塩梅でマッチし、「種ちゃん……いつでもいいから帰ってこいよぉ……」と涙ちょちょぎれである。

 

 『Pretty Days』であらためて思わされたのは、きんモザアニメは「時間の積み上げ方が上手」だということだ。

 僕の中では伝説の1期1話もそうだが、単に過去の回想を挟むだけでなく、「その過去がいかに今につながっているか」を描くのが、とりわけエモいベクトルで描くのが、やはりすごい良い。それも劇的なイベントではなく、学生なら誰にでもありそうな「受験勉強」というお題を持ってきたところが、『Pretty Days』のポイントの一つだろう。

 本編では金髪少女二人の存在が大きいが、なかよし5にんぐみの基幹となったのは忍・綾・陽子のトライアングルであり、この3人の関係性は中学1年から続いている。シノアリよりも長いのだ。

 だけども、長いゆえに特別性は感じない*1。そんな、アリスとカレンとは毛色の異なる関係性を、「いっしょの高校に行くために勉強する」という、ありふれた物語で色鮮やかに描く。いっしょの制服を着て入学式にやってきた3人を見て思い出したんですよ*2「尊い」というジャーゴンを。

 そんな物語を端的に表現するキャッチコピーもまた絶妙だ。

どこにでもあるようで世界に一つしかない彼女たちだけの大切な日常――プリティ*デイズ!

 まさに「日常系」としてふさわしい謳い文句だ。

 

 総じて、「きんいろモザイク 小路綾/Zero」とかいう下馬評通り、綾視点で描くことで攻撃力を高めた、きんモザOVAとして出色の出来だった。これまでのきんモザを補完し、その上でなお拡張していく、OVAのお手本のような良作である。

 きんモザに悪い思い出がなければ観に行って損はない。悪い思い出があってもぜひ観に行ってほしい。少なくとも、綾の独白によって、この金色の日常にさらなる彩りが加わる瞬間を、見届けることができるはずだ。

 

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 にしたってこのキービジュアルが本当にいい。映画を観た後だと余計にそう感じる。

*1:綾の陽子に対する感情は不問とする。

*2:本作はおそらく数少ない「制服を着崩していない綾と陽子」を拝める機会でもある。