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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

カゲプロ映画を観に行き、虚無となり、3Dメガネを買ってきた

 『カゲロウデイズ-in a day's-』を観てきた。その理由は「今年一番のクソ映画だ」という下馬評を確認したからである。

 「トイレで20分間クソしてた方がマシ? それは観なきゃな……」という悪魔のささやきである。そうはいっても、今年はすでに実写テラフォなどのビッグネームも出揃っている状態だし、いうてそこまででもないやろ~~~とは思っていた次第だ。

 だが、20分間の上映の後に確信した。間違いない。こいつは今年一番の「虚無」だ。

 内輪コンテンツであることを加味しても、並大抵の虚無ではない。加えて4DX価格であり、我々はこの虚無に対してなんと1900円も払うことができる。

 今年、とは言ったものの、地上波アニメに虚無が出揃った去年でも覇者を狙うことができる逸材だ。

 そしてなにより、この映画を観ると、なんと3Dメガネを買うことができる。おみやげ付きの虚無など前代未聞である。下馬評には酷評があふれ返っているが、なにもわかっていない。3Dメガネを買って持ち帰ることができるという、この映画の素晴らしさにきちんと目を向けるべきだろう。

 

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画像. カゲロウデイズ-in a day's-』を観ると買うことができる3Dメガネ

 

 さて内容の話。カゲプロはまるでわからないまま観賞したが、ざっくり内容をまとめると「デパートを襲撃したテロリストを異能力が使える少年少女がやっつける(なぜかはわからない)」というものである。まさに中学生に最適なストーリーであり、20分という上映時間も、若者の健康に配慮した優しいつくりである。

 話のつながりはまるでわからない。おそらく「カゲプロの人気エピソードかなにかを切り取った」のだろうと想像はつく。なるほど、完全に既存ファン特化のカラーであり、その潔さにはいたく感心した次第だ。

 劇場作品なのだから映像なども優れているのだろうと見せかけて、作画はとても質素。近年の地上波作品なら『空戦魔導士候補生の教官』クラスの、生ぬるい作画である。劇伴も質素であり、20分間はおよそほとんどが瞑想時間、すなわち虚無である。繰り返すが、空戦クラスの映像に1900円も金を出すことができるのだから、費用対虚無効果は桁外れと言える。

 極めつけは、この映像に対してなんと4DXであり、椅子は揺れるわエアスプレーは吹きかけられるわの大暴れである。加えて3D映像だが、特に3Dを意識しない映像だからなのか、椅子の揺れに気を取られるせいか、まるで3D感はないというお茶目ぶりも見せており、本作のチャームポイントである。

 虚無を極めた作品内容に対して、降りかかる各種4DX体験は割と激しいので、4DXの体験コンテンツとしても極めて優秀である。日本最初のアニメ作品4DX上映に選ばれたのはそのためであろう。

 

 結論を述べると、ささやかな4DX体験を提供しつつ、まぎれもなく今年最高クラスの虚無を提供する一作である。

 笑いもなければ怒りもない。涙もない。映画館に入ってから出るまで、なにも気持ちが揺れ動かない体験ができる、現代の悟りアトラクションといえよう。

 また、このような虚無においても、既存ファンは「最初から号泣した」「あのキャラとキャラの絡みが見れてよかった」「EDで感動した」といった惜しみない賛辞を贈っており、水っぽい塩味のスープでもありがたく食すことができるカゲプロ民の食事情や、ここまで舐めっぱなしのコンテンツでもファンが喜ぶ、ボカロ業界のボロい商売っぷりが読み取れる、貴重な史料としても保存に値する。

 再度の繰り返しになるが、今年一番の虚無に、お金を出すことで虚無具合にブーストをかけられる上に、3Dメガネを買うことができるのは、まぎれもなく素晴らしいことである。今年一番の虚無として、ぜひみなさんも観賞していただきたい。