うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

僕が無難に人にオススメするであろうアニメ10作品

はじめに

 はてなで高確率で見かけるもの、それは「おすすめアニメ紹介」である。

 おすすめアニメと言っても、本当に好きな作品をチョチョイッと抜粋したものから、立派にランキングにしたものまで形式は幅広い。また、内容も異様に濃密なものから、アフィリエイト誘導しか考えてない紅しょうがじみたものまで、玉石混淆と言っても過言ではない。

 そしてとうとう「おすすめアニメ紹介の母集団DB」まで世に放たれた。やる気があれば分厚いムック本が1冊作れる領域に差し掛かりつつある。

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 一方で、この手のエントリにつきまとう問題として、「どんな人物が、どんな基準で”おすすめ”しているのか」がわかりにくい、という点が挙げられる。

 あなたは何歳? 視聴頻度は? 好みは? フェチは? 初めて勃起した女性声優は? そもそもいつからいつまでのアニメ? などなど。上掲の母集団エントリにもこう記されている。

そういった記事の是非についてどうこう言うつもりは無いが、一つだけ毎回気になることがある。それは、母集団をはっきりさせろということだ。「プリキュア映画ランキング」だとか「今期アニメのおすすめ」とかならまだ分かる。対象範囲がはっきりしているし、そのくらいの数であるならば全部見た上で書いているだろうと判断できるからだ。

しかし「今まで見たアニメの中から」となると話が違う。古今東西のアニメを全部見ているとは考えにくい。すると、ある作品が入っていない場合、それがつまらなくて入らなかったのか、そもそも見ていないから入らなかったのか、その判断がつかない。

アニメ初心者におすすめしたい10137作品からの250選(前編) - 本しゃぶり

 浅学者の自分には立証困難だが、上掲エントリレベルの母集団があれば、明言せずともレビュアのプロフィールは推測できるだろう。その意味で一種の公平性は担保できる。

 いずれは僕もこの母集団で「おすすめ」を試みたい。けれどその前に、一度まっさらな気持ちで、「僕がおすすめしたいアニメ」をピックアップしたい。

 個人的には、「おすすめアニメ紹介」とは、限りなく私的であって構わないとも考えている。この世全てのアニメを視聴しつくすというのは不可能に近い。時間は有限であり、人には好みがある。好みに関わらず片っ端から視聴するというスタンスをとれるとすれば、それはアニメオタクを通り越して狂人の域である。

 好みと性癖と偏見のいり混ざった「おすすめ」。その不公平さも、「おすすめアニメ紹介」の醍醐味だろう。

 

 と、話が長くなってしまったが、今回は「最近見たアニメ」を少しばかり具体的にした、「2010年~2016年の間*1にたまたま視聴し、その中でも無難におすすめできるアニメ」を以下に挙げていく。

 その方向性を要約すれば、本エントリのタイトルになる。言うなれば、このエントリは、僕自身の自己紹介のようなものである。

 

 おすすめできる作品一覧

 番号が振られているが、ランキングを意味するものではない。どれも等しく「よかったぜ」と言えるものである。

  1. ジョーカー・ゲーム
  2. えとたま
  3. 聖剣使いの禁呪詠唱
  4. ヨルムンガンド
  5. きんいろモザイク
  6. たまこまーけっと
  7. ビビッドレッド・オペレーション
  8. 結城友奈は勇者である
  9. 放課後のプレアデス
  10. 四畳半神話大系

 

1. ジョーカー・ゲーム

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 最新も最新、2016年4月~6月に放映されていた作品である。

 いわゆるスパイもの。しかし本質は「魔法だけ使えない司波達也クラスのバケモノイケメン」8人と、それらを束ねる超バケモノのおじさまが大活躍する痛快活劇である。

 メインキャラクターが総じてバケモノぞろいなので「ぜってー失敗しないな」という安心感があるのだけども、各話とも30分間恐ろしいほど空気が張り詰めているので、視聴中に安心感はほぼ感じない。ピンポイントに差し込まれる、渋いのにオシャレな演出も絶妙。俗な言い方をすれば「映画のような」「引き込まれる30分間」が12話通して続いている。最高か。

 加えて、細かい描き込みと効果音、鳴り響く川井サウンド、異様なまでに豪華な声優陣のド安定演技と、細部にもスキがない。革手袋がきしむ音や、上官命令に対するリアクションの違いなど、リピートするごとになにかしらの発見があるので、何度見ても飽きない。ループ視聴に耐えられる作品はそれだけで上等だ。

 観てよし、視てよし、聴いてよしの三本ぞろいで、比較的誰にでもオススメできると断言できる。あと、1話完結(たまに2話構成アリ)のオムニバス形式なので、中だるみしにくい。2クールぶっ通しがキツく感じる人にも優しい設計だ。

 

2. えとたま

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 2015年の春に放送されていた怪物。今年に入ってTwitterのフォロワに強制視聴会を仕掛けられて観たのだが、結論から言えばリアタイで観なかったことをガチで後悔した。

 パッと見は動物擬人化美少女の萌え萌え動物園だが、その実態は苛烈なギャグとツッコミ、そしてフルCGのバトルシーンと大真面目なシリアスが、マッハ10の勢いで突進してくる超兵器。「女の子かわいい~」と油断していると、激烈なGに脳神経がズタズタにされ、そのダメージが心地よいとすら感じるというとんでもない一品だ。

 それでいて、どんなにハチャメチャにやらかしても、最後の最後で「いい話だった」要素が待っており、浄化されるようなEDも相まって「何……この……何……!」という顔になる。いい意味で。

 そして終盤は本当に大真面目なシリアスへ突き進むのだが、なんとそれまでの話を伏線として回収してくる優等生ぶりも見せてくる。ラスト2~3話は冗談抜きに「感動」する。にわかに信じられないかもしれないが、本当に感動するぞ。

 全話通して、いい意味のギャップが土石流のごとく降りかかるので、視聴体験そのものに価値が生じている。「見た目で判断できない」を体現する一作である。

 なお、制作は『シン・ゴジラ』のCGも手掛けた白組。フルCGで繰り広げられるバトルシーンの衝撃は、背景のとんでもないディテール(しかも1話使い捨て)も含め、肉眼で初めてゴジラと対面したときのそれに匹敵する。

 

3. 聖剣使いの禁呪詠唱

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 2015年・冬のグランドクロスの一角。1年経った今、おすすめしたくなるのは間違いなくワルブレだ。

 この破壊的ラノベ原作アニメの最大の魅力は、前半はゲラゲラ笑えるギャグアニメだが、後半は純粋に熱くなれる(それでいて笑いもある)という、不思議な動的性質にある。

 「綴るッ」「思い……出した……」といった初見ではギャグスレスレの要素が、繰り返されることで絶妙に噛み合い、やがて一つの作風へと変容していく。この作風の昇華が、ロシア編から右肩上がりで盛り上がる展開と絡み合った時、「綴らないなんてワルブレじゃない!」と断言できる、唯一無二の魅力へと変容するのである。よりシンプルに言えば「クセになるたまんねえなぁ」ということである。

 「一見するとダメダメな要素が真っ当におもしろく魅力的に映る」ようになる体験は、なかなか味わえない。ワルブレは、この希少な体験を「笑い」とともに提供し、誰にでも体験させられる逸材である。その意味で、僕は「オススメのラノベアニメは?」と聞かれれば、自信をもってこの作品をオススメするだろう。

 まぁそれを抜きにしても、主人公として文句なしに好青年な諸葉さんや、ヒトクセフタクセあるサブキャラたちなど、見どころは想像以上に多いのである。

 

4. ヨルムンガンド

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 ノリにノれるキル&クラッシュなバイオレンスアクション。「この作品を一言で述べよ」と言われたらまずそう回答するであろう、2012年の分割2クール作品。

 どいつもこいつもそうそう負ける気がしない連中が、岩崎琢のエレクトロでノリノリなサウンドとともに敵を一掃していく光景はただただ爽快。上掲のくろいのび太くんワイリ君が大活躍する19話「Pazuzu」はその筆頭である。敵もザコばかりではなく、ナイフ付き二丁拳銃を振り回すおちゃめな人や、CIAからやってきた物騒なヤツらなど、四方八方に楽しい人たちでにぎわっている。

 銃弾、ナイフ、TNTが飛び交うダンスフロアーで終始テンションがMAXになり、気がつけばお気に入りのエピソードをリピートすることになるだろう。一方で、ピンチ時の緊迫感も劣るはずもなく、カーチェイスの撃ち合いなどは息を止めて見入ることができる。

 それでいて何も考えなしのウォーモンガーでもなく、根底には「人と武器」というテーマが横たわっている。節々に挿入されるエピソードは無限に考察の余地があり、単にバンバン撃ち合いをするだけではない骨太感も味わえる。

 ノッてよし、考えてよし。これも比較的いろんな人におすすめできる。ちなみに、もし「ひたすらアガりてえんだ」という方がいれば、原作者・高橋慶太郎が手がける『デストロ246』をプッシュする。あっちはさらにサイコーです。

 

5. きんいろモザイク

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 2013年に地上波に現れたきららの使徒の一角。2期の水着回がいろいろな意味で盛り上がったのは記憶に新しいが、騒動抜きでこのきららアニメはおすすめできる。

 特に1期の1話。この回だけは万人に視聴を勧められる。「絵柄で引いてます? 一度観てみましょ?」と無限にチャントする自信がある。「国籍の異なる二人が言葉の壁を乗り越える」という寓話として非常によくまとまっている上、それが現在の時間軸(=1話以降全ての話)の基点になり、「全12話の導入」として間違いなく素晴らしい仕上がりになっているからだ。「単品で見てもパーツで見ても秀逸な1話」はそうそうお目にかかれまい。

 また、登場人物の関係性の描き方も個人的に絶妙だ。間違いなく仲良し、ともすれば「親愛」の域を越えてしまうことが察せられる近さなのに、普段のやりとりは意外と何気ないものが多く、時折勢いのある毒まで飛び出す。女の子のべったりとした仲良しを期待すると「大丈夫か?」と心配になる場面まであるが、そこがメインキャラたちの絶妙な距離感として機能しているのだ。毒も許容する「女の子たちの空間」は、絶対的な小気味よさをもたらしてくれるのである。

 「かわいさだけブレンドしました」が時の覇者・ごちうさだとすれば、「かわいさも毒も混ざり合ってます」がきんモザである。この精緻ながらピーキーなバランス感覚は、多くの人に体験してほしい。間違いなく、僕の中のおすすめきらら枠筆頭である。

 

6. たまこまーけっと

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 数ある京アニ枠の中でも、2013年に山田尚子女史が手がけたオリジナル系。そして僕の中では京アニ最プッシュ枠でもある。

 なにがいいかといえば、「劇的ではない温かい物語」という点に尽きる。登場人物の多くが「誰かを好き」という状態にありながら、そこから劇的な展開にもつれこむことなく、商店街という空間でゆるやかに、しかし決して「無ではない」物語が進んでいく。

 さながら朝ドラのような穏やかさ。けれども印象的な場面がたくさんある。そんな不思議なあり方を、"Everybody loves Somebody" というテーマで断言してみせる。それがものすごく心地よい調和になるのだ。「尊い」というジャーゴンはこの作品にこそ相応しい。

 しかしながら、このアニメ単品でも素晴らしいのだが、真価は劇場版『たまこラブストーリー』を合わせることで発揮される。"Everybody loves Somebody" が "I love You" に変わる瞬間。「劇的ではない温かい物語」が崩れ、一つのラブストーリーへと姿を変えていく光景。そのエモさたるや。ただただため息しか出なくなること必至である。

 TVシリーズのゆるやかな温かさと、劇場版のビビッドな甘酸っぱさ。それぞれ単品でも楽しめるのに、つなげれば双方ともに引き立つ。アニメシリーズはこういう風にも広げていけるんだ、という教科書にすらなり得る、とにかく様々な面からおすすめしかねない一作。

 

7. ビビッドレッド・オペレーション

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 「原始的視聴体験」というものを幼少期ぶりに思い出させてくれた、僕にとっておよそなくてはならない一作。2013年放映だというのだから、出会ってから3年も経つことになる。随分月日が流れたものだ。

 少女が友情を育み得た力で強大な敵を討つ。それ以外の論理的なあれこれを全て破却する。とんでもなく歪だが、それゆえに力強い。子どものころに戦隊モノで夢中になっていた時を気持ちを呼び覚ます、プリミティブなパワーを宿しているのだ。

 「少女の友情」という文字通りビビッドな要素の一方で、ガバガバな話の流れ、「拷問」と表現される6話の水着回と、欠点も盛りだくさん。今でも視聴中に精神が削れまくる時があるほどだ。だけども、全て見終えて思うのだ。「欠点もあるけど、それ以上に素晴らしいものがある」と。

 ビビオペの潔い姿勢は、加点法の視聴姿勢をもたらしてくれる。それは、粗探しをして粋がる生き方からの解放と同義である。そういった意味でも、ビビオペは本当におすすめしたい一作なのだ。

 

8. 結城友奈は勇者である

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 2014年に現れ、間違いなく夢中にさせられた一作。ウケ狙いで「ビビオペ2.0」という言葉を作り出したつもりはない。その力強さ、まばゆさは、多くの人に見届けて欲しい。

 放映当時は様々な言葉で語り尽くしたが、この作品最大の魅力を簡潔に述べるならば、「小賢しい理屈を踏み越えていく強さ」である。その手段が「少女のパンチ」となることで、「小賢しさなんかぶっ飛ばしてやるぜ」という訴求力を生み出しているのだ。それらを示す言葉こそ「勇者」に他ならない。

 ビビオペと同様に、道中には若干の欠点も見受けられる。しかし、どうしようもない状況を前に、諦めもせず、とんちも用いず、ひたすら真正面から突破しようとする物語は、多少の欠点など踏み潰す勢いだ。その姿がこれ以上になく輝いている。

 ロジックの向こう側にあるもの。ゆゆゆはそれを思い出させてくれる一作である。また、そういう意義以外にも、淡いフェティッシュな絵に、神々しくもパワフルな劇伴、喉大丈夫か!?と心配になる声優陣のシャウトなど、視覚的にも聴覚的にも見どころがたくさんある。

 

9. 放課後のプレアデス

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 エモーションの化身。一言で言えばそうなる。ともすればビビオペの直系にして、ビビオペの完成形といえる。アニメ自体の放映は2015年だが、その出自は2011年にYoutubeでひっそり流れていた30分の短編であることを知っている人は、どれだけいるであろうか。

 少女の友情が、眼前の壁を超えていく。この作品の基本構造はそんな感じだが、ポエティックに(しかし効果的に)語られる各話の主題、その主題がまんま形になったような映像、そのシンクロがシンプルながらとてつもない破壊力をもたらす。あらゆるカット、あらゆるセリフがテーマに直結するのだから、エモさ全開涙腺大崩壊である。

 また、「少女の友情」が額面通りのスケールであるのも個人的に好ポイント。レズを匂わせたり、やたら重い友情であるわけでもない。なんなら「少年の友情」にだって置き換えられる。描かれているのは「友人との距離感」という思春期等身大のテーマなのだ。それがまぶしくなくてなんだというのか。

 等身大の、それゆえにすさまじくまぶしい、そんなエモーション全開の物語が12話ぶっ通しでぶつかってくる。毎話「エモい〜〜〜」と言いながら絶命しかねない、間違いなく正統派の魔法少女の姿がそこにはある。なお、巡り巡って最後には純粋なラブストーリーになるのもポイントだ。

 

10. 四畳半神話大系

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 2010年のノイタミナ枠。ここまで挙げた作品以上に、万人に、それこそ初めて出会った人にも間違いなくおすすめできる。なんなら非オタの方にだっておすすめできる。

 常軌を逸した饒舌で早口な語り、実写も惜しげなく盛り込んだ映像と、様々な要素がユニーク。それでいて物語を一言で表現すれば「どうしようもないクソ大学生の青春」であり、そのしょうもなさに毎回爆笑すること請け合い。オムニバス形式なのでどこから見ても楽しめるのも大きなポイントである。

 そんな阿呆の極みな30分が連続するのだけど、終盤にそれらが一気に収斂していく。この疾走感、伏線回収の鮮やかさ、積み上がった10話分の思い出。最終話の展開は少し話すだけでネタバレになるので詳しくは控えるが、その感動は間違いなくこういうものだ。「ここまで全部見てきた甲斐があった」と。

 1クールのアニメをすべて見ること自体に絶大な意味を持つ作品として、これは本当にいろんな人に見てほしい。四畳半で紡がれるどうしようもない物語が、きっと忘れられない思い出になるはずだ。そして、きっと誰かにおすすめしたくなるのだ。「このアニメの出来は無類である」と。

 

 

 

 とりあえずざっくりこの10作品は「これは観とくべきっすよぉ〜」とヘラヘラした表情で、あるいは結婚報告をする時のような真剣な表現でおすすめしそうな作品である。

 私情バリッバリな文章であることは百も承知だが、どうせオススメするなら本当に私情まみれであるか、徹底的に公正な基準を持ち込むべきだ。そして、多くの人が実践しやすいのは、おそらく前者であろう。

 とはいえ、冒頭で挙げた母集団をもとに、網羅性を担保したおすすめも作りたくなるのが、人のサガというもの。せっかくなら、大学生時代にクソオタサー会誌を作っていた時の評点手法(具体的には視聴話数に基づく加重平均法など)なども掘り起こしつつ、過去から遡ったおすすめ作成を試みたい。

*1:この時期は、僕が大学生になってから現在に至るまでの期間であり、「私はキモオタである」という自覚が芽生えた時から現在に至るまで、と想っていただければ幸いだ。