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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

『ラブライブ!サンシャイン!!』2話 諸感想

 『ラブライブ!サンシャイン!!』の第2話を一言で述べれば、「エモい」に尽きる。

 ただただエモい。もはやサンシャインそのものが、エモさを過剰積載した質量兵器なんじゃないかと思えてくるほどだ。脈絡は欠いてるところがあるが、速度をつけて物理で殴っているので、おおむね問題ない。そんな感じだ。

 ラブライブについて語る時、最近は機関員に詰められる小田切*1みたいな心情になりがちだが、2話に関しては自信を持って「エモい!それでええ!」と主張できそうだ。以下、その主張の断片を書き残す。

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 ラブライブ語りをする敬虔なオタクたち(想像図)

 

普通の夢を追う子と、才能ある道に迷う子

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 なにがエモいかと言えばラストのこのカットである。もうTシャツ化される*2という真なる覇権しぐさには辟易とするが、このシーンそのものに罪はない。憎むべきは軽率な商業主義である。

 1話の時点で、千歌は「普通の夢を追う子」梨子は「才能ある夢に迷う子」という構図が見えていたが、2話は梨子の過去に焦点を当てることで、この対比構図を強化している。

 梨子は過去に挫折を抱え、ピアニストという自らの夢に対し、ある種の責務感を抱いている。ノープランだがまっすぐスクールアイドルを目指す千歌とは真逆で、自らの夢で自縄自縛に陥った少女が梨子である。だからこそ、千歌の誘いは「ピアノ以外に費やす時間が惜しい」という言い回しで断っているのである。自室でピアノを弾けないにも関わらず、である。

 ラブライブ!の世界は、基本的に「自分のやりたいことをやる」という行動原理が推奨され、責任感だけで行動する者にはペナルティが与えられる*3。千歌はこのラブライブに世界法則に対し、これでもかと忠実に動く。知識的にはにわかで、とりわけ才能があるわけでもないが、「やりたいことをやる」という点に対しては、間違いなく作中随一だろう。そして言わずもがな、梨子はこの法則に従えずにいる存在だ。

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 後述するが、梨子は暗闇の中で身動きが取れずにいる少女である。暗闇から脱しようにも、どこへ進めばいいかわからない。だからこそ、彼女を「暗い部屋」から連れ出せるのは、上手に立つ、無邪気な輝きを放つ千歌の手なのである。

 才能もなく地団駄を踏むだけだった千歌と、暗がりで道に迷うばかりだった梨子が、ともにはじめの一歩を踏み出すこのシーンは、「月下で触れ合う指先」という象徴的な描写も相まって、エモさがカンストしかけている。30分の締めとして、とてもとても強大な1シーンだ。

 

「無音の世界」に差す光

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 2話における梨子のシーンで特徴的なのは、「無音」「暗闇」である。

 コンクールでピアノを前に指が動かず、客のざわめき以外が聞こえない「無音の舞台」は、梨子のトラウマとして刻まれている。そんな彼女にとって、音が無いに等しい海中は、トラウマを連想させる空間である。

 無音だけでなく、「真っ暗でなにも見えない」という梨子の感想も重要だ。彼女の部屋は、2話の時点で電気が一切点いていない。2期5話までの凛の部屋もそうだったように、梨子の「暗い部屋」は、彼女自身の否定的な感情を象徴している。無論、電気が灯らない理由とは「無音の舞台」であり、それを連想させる海中に対し、彼女は「暗闇」であることを訴えるのである。

 しかし、千歌と曜に連れられもう一度海に潜ると、暗かった海中に陽の光が差し込む。その時になって、梨子には初めて「海の音」が聴こえる。「無音」と「暗闇」が同時に解消され、梨子は一歩前進するきっかけを得るのである。

 このあたりの描写は、μ's編からも徹底されているやり口なだけあり、かなり印象的なシーンとして映る。ラストの月下のシーンと合わせて、梨子の心情の変化を表すには、とても効果的なシーンだ。無論、エモい。

 

ダイヤと千歌のやりとりの見立て

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 ポンコツっぷりがさらに露呈した挙句、まさかのスクールアイドルオタク設定まで追加された生徒会長こと黒澤ダイヤ。個人的なイメージとして「綾瀬と矢澤の悪魔合体失敗例」が確立されてしまったが、千歌とのやりとりは「作品の外部状況」を見立てられる興味深いものだった。

 千歌は「μ'sを『ユーズ』と言い間違えるくらいのにわか」であり、彼女はラブライブを知りたての新参さん(もっと言えばサンシャインから入った組)である。対してダイヤは、「『ぼくいまの冒頭でスキップをしていた人は!?」とかいうカルトクイズを繰り出せるレベルのオタク」であり、彼女はいわば古参にして、厄介系のラブライバーである。

 つまり、ダイヤが千歌に詰め寄るこのシーンは、「厄介なラブライバーが新参のにわかぶりを攻撃する」という心ない光景のメタファー(便利な言葉)ともいえる。インターネットを探せば、実話創作を問わず数多く発掘される、地獄百景の一つである。

 こういう見立てをしてみると、ラブライブ公式サイドが「お前たち少しは自重しなさい」と警告しているように思えてくる。そんなことを言われれば「すみません…」と反省せざるを得ない。見立て半分妄想半分ではあるが、「コンテンツの終焉と永遠を望むファン」を描いた劇ラ!の存在があるだけに、否定しきれないのが恐ろしい。

 また、ダイヤの異様な博識ぶりと信奉ぶり、そして千歌の憧れぶりから、作中世界のスクールアイドルが「一部にとっての絶対的な存在」となっており、μ's時代からさらに地位を確立していることも伺える。とはいえ、「一部にとって」という要素は変わらずであり、それは梨子の「そんなに(μ'sって)有名なの?」という反応から読み取れる。まだまだマイナーなんでしょうね、スクールアイドルって。

 

余談

  • 本作は事実上の千歌と梨子のダブル主人公なのかもしれない。『君のこころは輝いてるかい?』が二人のWセンターだったことも鑑みるに。
  • 曜ちゃんに惹かれた理由が今回ではっきりした。この子、「気立ての良い活発な幼なじみ」なんだ。千歌といっしょに過ごしてきたのに、転校してきた梨子に千歌を取られてしまうんだ。そりゃね、惹かれますよ。そりゃあね……えぇ……*4

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  • ルビィちゃんあざとすぎへん?(とてもかわいかったです、の意)
  • まさかの不登校になる善子に不覚にも笑う。高校デビュー失敗かよ。

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  • 衣装組としてことりポジを引き継ぐ曜に対し、梨子はどうなるんだろうと思ってたけど、しっかり園田の波導を継承していて「なるほどな」という感じ。
  • 全体的にアホの比率がμ'sよりも増加している気がするAqours。果たして舵を握るのは誰だ。