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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

童話『みやもくんの1にちは50えん』

 ある日、みやもくんは、インターネットひろばにやってきました。

 みやもくんは、ブルーシートをひろげると、そのまんなかに立って、こう言いました。

「ぼくは、プロブロガーだ! ぼくのまわりの5メートル、このブルーシートをしいたところが、インターネットだ!」

 ひろばにいた人は、ふしぎそうなかおをしました。

「ひろばはこんなにひろいのに、あの子はどうして、ブルーシートの中をインターネットだと、言いはっているんだろう?」

 けれども、だれもみやもくんに、そのことをたずねません。なにをしているかわからないし、じかんのムダだったからです。

 こうして、みやもくんは、プロブロガーになりました。

 

 みやもくんは、ブルーシートのまんなかで、とりとめのないおななしをしていました。

 パワー。気づき。青春。情熱大陸。そんなことばがならんだけの、とくにいみのないはなしばかり。

 おおくの人はとおりすぎていきましたが、たまに、あたまの上にお花をさかせた人たちが、たまにブルーシートのなかにはいりました。

 みやもくんのまわりは、いつのまにか、おはなばたけになっていました。

 

 ある日、みやもくんは、ブルーシートのまんなかで、さけびました。

「ぼくの1にちを、50えんで売るよ! MacBookAirより重いものはもてないけど、ひっこしのてつだいもするし、はだかおどりもするよ! 1じかんだけなら、ブログのそうだんにものってあげるよ! 渋谷あたりならかけつけるけど、それいがいのばしょは、交通費はおねがいね!」

 インターネットひろばをいく人たちは、ぎょっとしたようなかおをしました。

 1にちを50えんで売るだって? たったそれだけで、なんでもするのか?

 みんな、ぶきみそうに、みやもくんを見つめていました。

 

 すると、だれかがブルーシートのそばにちかづきました。ブルーアイズ高卒ドラゴンくんです。

 ブルーアイズ高卒ドラゴンくんは、50えんと、BASEのもうしこみしょを、みやもくんにわたしました。もうしこみしょには、こう書かれています。

 

『日雇いのアルバイトをしてほしいです! そしてバイトだいは、ぼくにちょうだい!』

 

 みやもくんは、おこりはじめました。

「アルバイトだって!? じょうだんじゃない! もしきみがぼくだったら、どんなきもちになるとおもう!?」

 すると、ブルーアイズ高卒ドラゴンくんは、ふしぎそうなかおをしました。

「だって、なんでもやるって言ってたよ? だったら、ぼくのいうことをやってくれなきゃ、おかしいじゃないか。それにぼくは、もう50えんをはらっちゃったよ?」

 そのことばにあわせて、とおりすがりの人たちが、くちぐちに「そうだ!」といいました。

「なんでもやるって言ったじゃないか」「うそつきめ」とどなる人もいます。

 ブルーシートのまわりは、たちまち、おおさわぎになりました。

 

 みやもくんは、みんながどうしておこっているのかわかりません。

 こまったみやもくんは、じぶんのまわりにいる、お花をさかせた人たちにはなしかけました。「ぼくがわるいの?」と。

 お花をさかせた人たちは、ニコニコしながらこたえました。

「みやもくんはわるくないよ」「みやもくんはすてきなことをしているよ」と。

 お花からのこえをきいたみやもくんは、あんしんして、じぶんに"わるくち"をいう人たちにむかって、さけびました。

「おまえたちには、おもいやりがない。こんなやつらが、日本にこんなにいるなんて、なんてかなしいんだ。みんな、ぼくがきらいで、しかも、いばしょがないんだ。だから、みんなでぼくをいじめるんだろう!?」

 ひろばにいたひとたちは、目をきょとんとさせています。みやもくんがなにを言っているのか、さっぱりわからなかったからです。

「あいつ、もしかして、バカなのかな」

 そうおもった人たちは、しずかにブルーシートのそばから、たちさっていきました。

 ブルーアイズ高卒ドラゴンくんも、みやもくんから50えんをかえしてもらうと、どこかにいってしまいました。

 

 きょうもみやもくんは、ブルーシートのまんなかで、とりとめのないはなしをしています。

 みやもくんのまわりは、あいかわらず、お花でいっぱいです。

 もう、とおりすがりの人たちは、ブルーシートに目をむけることはありません。

「あれはなんだい?」

 なにもしらない人が、だれかにたずねました。ふりかえることもなく、その人はこたえました。

「プロブロガーっていう、かわいそうなやつだよ」

 

www.miyahaya.com