うらがみらいぶらり

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はいふり学入門 第1回 機関科研究

 『ハイスクール・フリート』も今週で7話目に突入する。

 「あっという間の折り返し地点だ」と言えればよかったのであろうが、「シナリオが雑」「設定が雑」「BGMが不適」「作画が怪しい」などなど、きな臭いウワサはキリがない。さらに遅々とした話の進みに対して、テコ入れじみたお風呂回などを差し込む謎の余裕ぶり。至るところから腐臭のただようその航路は、決して安穏とはいえない。

 一方で「コミック版は素晴らしい」という報告も寄せられている。僕も野次馬根性で手にとってみたが、これがまぁおもしろい。本編の100倍はおもしろく、かつ真っ当な上、「本編はこのコミック版前提で作られている」と思わずにはいられないほど本編を補完している。というより、このコミック版を読まないと、世界観と人間関係の理解が著しく困難だ。

 

 「本編を外伝で補完する」ことを大前提とする姑息さには憤るものの、「自分から作中情報を取得するとなお楽しい」という性質そのものは、一様に否定されるべきではない。情報を掘り起こす楽しみ、というものである。

 この感覚、ある意味では学問にも似ている。そう、『ハイスクール・フリート』とは、好奇心と退屈を同時にもたらす、学問なのである。

 ということで、順当にいけば「ポストアニメ艦これ」の襲名へと至るであろう『ハイスクール・フリート』をより理解するために、「はいふり学入門」を立ち上げようと思う。記念すべきかも怪しい第1回は、コミック版1巻での中心メンバーたる機関科の生徒について、学んでいこうと思う。

 

 1. 機関科概要

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 作中の晴風クルーでは、機関長1名、機関助手1名、機関員4名、応急長1名、応急員1名、総計8名が「機関科」である。

 概要、とはいっても本編中で詳細な説明があるわけではないので、どんなものかは判然としない。本編中のイメージだけで言えば「メカニック担当」といったところか。

 コミック版では、入試時の実技試験として「機関を検査し、不具合があったら修理し、再度動作させる」というものがある。つまり、入試を突破した彼女らは、それくらいの技術能力があるということであろう。実際、3話では航行中のエンジンを直すという場面も見られた。

 現実にも「機関科」と言われる部門はあるようだが、この分野には詳しくないので、突っ込んだ話については差し控えたい。ざっくり調べる限りでは、機関部の操作・整備をするのが「機関員」、被害発生時の応急工作をするのが「応急員」、という区分けっぽいが、お詳しい方、このへんどうなんでしょう。

 

 

2. 機関科メンバーについて

 さて、はいふりの理解を高めるために、登場キャラクターについて学んでいこうと思う。

 前項で機関科は8名いると述べたが、一部門のメンバー数は実は一番多い。しかし、後述するが8名のうち4名が「1セット」であり、「歴女チーム」のような塊として認識してしまえば案外おぼえやすい。

 さらに、はいふり登場人物の共通事項として「ニックネームが設定されている」というものがある。ニックネームさえおぼえておけば、雑に脳内に突っ込んでおいても、エイリアス検索ですぐに思い出せるのがメリットである。

 こういった事情から、キャラクターは「量産機のバリエーション違い」と評される割に、比較的おぼえやすい。だからなんだというわけでもないが、みんなもおぼえようぜ! はいふりガールズ!

 

柳原 麻侖(マロンちゃん)

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 「誰だこれ」という諸氏に一言で説明すると、「たまに聞こえるべらんめぇ口調の主」である。ちなみに3話で航行中に機関をいじってた子でもある。

 特技が「魚を捌く」でありながら、好物は焼き肉、苦手なのは刺身。CV:高森奈津美も相まって「てめーは前川か」とツッコみたくもなる。だが、それ以上に「銚子港所属 統合漁業船」という出身地の破壊力がすさまじい。

 出自と特技で察するかもしれないが、いわゆる漁師の子である。実際に漁の手伝いをしている様子はコミック版にて確認できる。本編中には見当たらない。

 CV、役職、口調と、比較的キャラ立ちしやすい要素を兼ね備えており、加えて一瞬身構えるような名前も相まって、おぼえやすさは筆頭といえよう。

 

黒木 洋美(クロちゃん)

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 これも「誰だこいつ」となってしまううっかり屋さんに一言で説明すると、「1話でましろをヨイショしていた女」である。最新話だと「艦長に突っかかってた女」とも認識されているだろうか。

 目を引くのは169cmという長身。晴風クルー内でトップの身長である。それ以外のプロフィールには特筆すべきところはないものの、明乃やましろとの関わりが比較的多いため、彼女も認知されやすいキャラといえるだろう。

 「マロンの幼なじみ」「ましろに憧れている」という設定が与えられているが、これがしっかり描かれているのはコミック版である。作中では「この女はましろの友人なんだろうか」と思いがちだが、実際はましろに憧れて海洋学校に入ったクチである。

 

「ウワサ好きな仲良し4人組」

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 本編にて、上のシーンのように機関科まわりのシーンで束になって出てくる4人。あろうことか公式サイトでこの肩書で一括りにされている存在である。

 彼女たちの特徴として、「麻雀が趣味でお好み焼きが好きで物理が得意で国語が苦手で神奈川県三浦郡出身」という共通プロフィールを持つ。コピペかよと狼狽もしたくなるが、仲良し感を演出するには手軽な手法であろう。

 

①若狭 麗緒(レオちゃん)

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 4人組のうちの金髪。プロフィール差分は「納豆が苦手」「好きな言葉:東西南北」。なんとなく外見のギャルっぽさが強い子である。

 

②伊勢 桜良(サクラちゃん)

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 4人組のうちのサイドテール。プロフィール差分は「おくらが苦手」「好きな言葉:上下左右」。特徴欄の「色っぽい。」が実にハリボテ設定めいて見えるが、コミック版ではきっちり「色っぽさ」が描かれている。

 

③駿河 留奈(ルナちゃん)

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 4人組のうちのツインテール。プロフィール差分は「なめこが苦手」「好きな言葉:春夏秋冬」。特徴の「バカっぽい。」が身も蓋もないが、コミック版ではちょっとだけ重要な要素である。

 

④広田 空(ソラちゃん)

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 4人組のうちのリボン。プロフィール差分は「じゅんさいが苦手」「好きな言葉:朝三暮四」。それ好きな言葉でいいのか。4人組では一人だけパーカー着用と、明確な特徴がある。

 

 前述のとおり、この4人組はまとまって描写されることが多く、今のところ単体で目立った活躍が与えられるキャラではない。このため、「4人組」という漠然とした総体として認識されるだろう。彼女たちの細やかな個性は、コミック版を読むと手にとるように感じることができる。

 

和住 媛萌(ヒメちゃん)

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 彼女も「一体どの子だ」と頭を抱える諸兄がいるかもしれないが、代表的な場面は「4話でトイレットペーパー枯渇を発表した子」であり、さらに「トイレットペーパー買い出し班の一人」である。というのも、応急長にして美化委員長という役職だからである。

 制服揃いのクルーにあって、ジャージ+スパッツという明らかにレギュレーション違いの格好である。そういった意味ではおぼえやすい。また、「グラサンとマスク」という変装を4話で披露し、6話では人体実験されかけていたりと、なにかと目立つ機会が多い子である。

 なにゆえ美化委員長、果ては応急長なのか、その片鱗はやはりコミック版にて語られている。さらに、下に続くモモちゃんとの関係性も、やはりコミック版にくわしい。

 

青木 百々(モモちゃん) 

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 ベレー帽メガネという1ポイントで強い容姿。そんな彼女の代表的な登場場面はやはり「トイレットペーパー枯渇回」である。

 見た目やいかにもな趣味と特徴もさることながら、特筆すべきは「横須賀港所属 服飾船『テーラー青木』」という出身地である。「地上の多くが水没している」というはいふりの設定が垣間見える要素だが、やはりというべきか、本編中ではほぼ機能しない設定である。

 テーラーという名で察せられるが、いわゆる裁縫技術持ちであり、その片鱗は再三になるがコミックにて描かれている。

 

 以上8名が、機関科メンバーである。ただし、最初のうちの覚え方は、「マロン、クロちゃん、4人組、ヒメちゃん、ベレーメガネ」になってしまうかもしれない。無論、これでは「本名を書きなさい」という問いには答えられないので、さわりの全体暗記はほどほどに。

 

 

3. コミック版について

 さて、上記にて何度も何度もコミック版について言及してきた。

 Amazonや店頭で在庫が枯渇する、異常なまでの売れ行きを記録しているコミック版は、本編の前日譚として、主に機関科メンバーと炊事班の「海洋学校へ入学するまで」を描いている。

 内容を簡潔に列記すると・・・

  • マロンが黒木さんの志望先である海洋学校を志望先に決める話
  • 炊事組がマロン・黒木ペアの話を聞いて海洋学校に志望を決める話
  • ヒメちゃんとモモちゃんが祭の準備をしながら志望先の海洋学校について話す話
  • 4人組の海洋学校試験当日の話
  • 入試後に4人組とマロン・黒木・炊事組が顔見知りになる話

 と、まるで機関科アンソロジーとでもいわんかのようなラインナップである。他にも、おなじみ艦橋メンバーや、一部航海科メンバーの話もある。

 

 また、前項にて「コミックにしか描かれていない要素」をキリがないほど書いたが、それを以下にまとめるとこうなる。

  • 漁師の孫としてのマロン
  • マロンと黒木さんの幼なじみ描写
  • 黒木さんがましろに憧れている理由
  • ヒメちゃんの工作能力
  • ヒメちゃんの「いつもダイエットしている」要素
  • モモちゃんの裁縫能力
  • モモちゃんのマンガ好き要素
  • 仲良し4人組それぞれの個性
  • 仲良し4人組が「仲良し4人組」である理由

 いずれも、各キャラクターのコアになる要素であり、それらを少ないページ数できっちり描いている。ここがコミック版の秀逸たるところである。

 逆に言えば、こういう重要な要素を根こそぎ切り捨てている本編がどれだけヤバいかということでもある。まぁ、本編は艦橋メンバーに純化している、ともとれなくはないので、求め過ぎも酷か。

 

おわりに

 キャラクターに関する理解度を高めてから本編を見返すと、発見することが多い。とりわけ、各キャラクターの行動理由を知っていれば、意味不明だった場面がたちまち理解可能となり、五里霧中の大海も、朝焼けの美しい大海原に変わるだろう。

 はいふりとは、学問である。自分で情報を集め、積み上げ、それぞれの関係性を紐解くことで、明らかであなかったものを明らかにする。その達成感こそ、このおぞましやかなコンテンツがもたらしてくれる「楽しみ」である。

 この学問は、当然ながら新興であり、未だ発展途上である。だが、すでに巷には「はいふりの登場キャラを完答する試験」*1も作成されており、その熱量は未知数ながらも期待感にあふれている。みなさんも、この腐臭漂う航路を探求する「学び」へと、足を踏み込んではいかがだろうか。

 

 まぁ、そこまでしなければならないアニメというのは、ひどく歪である。

 

参考文献

はいふり (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

はいふり (1) (MFコミックス アライブシリーズ)

 

 

*1:詳細は「はいふり言えるかな」で検索されたし。