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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

鹿島のシコリティに関する調査ノート ~多要素に起因する工業的シコリティの是非~

PUBLISH えっちな話 ゲーム
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 艦これに鹿島(練習巡洋艦)が登場してから一ヶ月が経った。その間にインターネッツにはスケベ非スケベを問わず大量の鹿島のイラストが出回っている。

 RTで回ってきたと思ったら鹿島、絵師が新刊を発表したと思ったら鹿島、そんな状況がかれこれ一ヶ月続いている。新規艦娘追加行事にしては長く、そして力強いムーブメントだ。

 この圧倒的な人気は、単なるかわいさだけでなく、極めて完成されたシコリティにあると推測される。昨年の年末に現れたアンジェラ・バルザックも、破壊的ながら洗練されたシコリティをその身に宿し、2014年のシコリティダービーにて目覚ましい活躍を見せたのは記憶に新しいが、鹿島もあるいは匹敵する逸材であろう。

 だが――僕個人の意見を述べてしまうならば、鹿島のシコリティは圧倒的だが、実際にシコるにはいささか熱量が足りない。そして気づいたのは、完成されたシコリティは、裏を返せば工業的な、熱量と生々しさに欠けるデザインである、ということである。

 とはいえ、「艦これ至上最大の人気」とも噂される練習巡洋艦の存在は、明らかに無視できない重力を有している。以下は、直近1ヶ月は溜め続けた、鹿島に関する思索の痕跡である。

 

 

現況

dic.pixiv.net

 鹿島の人気とは、どれほどの勢いなのか。Pixiv大百科は次のように語っている。

実装されるや否や人気が爆発し、なんと11月22日から4日連続で1日に100件以上イラストが投稿されるという凄まじい記録を樹立した。この記録は艦これの追加キャラクターの中では前代未聞のものであり、2015年12月現在、鹿島は艦これの全追加キャラクターの中で、実装直後に最も人気が爆発した艦娘と言えるほどである。 *1

 島風から連なるスケベ冥府魔道のメッカたる艦これ界隈において、この言われようである。とはいえ編者の主観では?という疑念も抱いたので、実装された11/18から12/19までの閲覧数の遷移をグラフにて確認する。

 

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 「人気爆発」という言葉がこれほどにも似合うグラフもそうそうない。ちなみに最大値は11/24 639,079 Viewsである。たった一日でコミケの来場者数を上回るのだからインターネットはすごい。

 

 では、Pixivに投稿されたイラストの数はどれほどのものか。2015年秋季イベントにて追加された他の艦娘と投稿数を比較してみる。

 投稿数を調べるにあたり、以下の検索条件を設定した*2

  1. 「検索ワード」+「(艦隊これくしょん)」
  2. 「検索ワード」+「艦これ」

 

艦娘+(艦隊これくしょん)+艦これ
鹿島 1,619 1,865
萩風 22 259
179 375
グラーフ・ツェッペリン 533 658

表1. 2015年秋季イベント実装艦娘のイラスト投稿数(Pixiv) 

 

 ある程度は予想していたが、ここまで他艦娘と開きがあるのも恐ろしい。フミカネ絵かつ海外艦という強バリューのグラーフ・ツェッペリンですら、鹿島の3分の1程度である。

 

 なお、鹿島単体の「全件数とR-18のみの件数」もあわせて調査した。 

 

種別+(艦隊これくしょん)+艦これ
全件 1,619 1,865
R-18 133 377

表2. 鹿島のゾーニング別イラスト投稿数(Pixiv)

 

 R-18だけで駆逐艦を凌駕しにきている。さらに、比率は「名前+艦これ」の場合、およそ20%となる。この数値、同条件の検索結果の場合は、島風や加賀、浜風や大鯨なども超えている。つまり、とんでもないスケベ需要がある、ということである。

 

鹿島のシコリティ

 現時点で圧倒的な流通率を誇る鹿島であるが、そのシコリティは一体どのようなものか。なにに起因するのか。

mope-on-the-seafloor.hatenablog.com

 すでに先行研究が存在するので、今さら語るというのもどうかと思うが、まずは諸要素を列記する。

 

  • 銀髪
  • ツインテ(に見せかけたスリーサイドアップ)
  • ミニスカ
  • ハイソックス(→生足面積:大)
  • 尉官礼装(ただしフリルつき)
  • ツリ目
  • 巨乳(着痩せ気味)
  • 素直で従順
  • 提督LOVE
  • 教導者(練習巡洋艦)

 

 ごくごく表面的でわかりやすい要素について列記してみたが、すでに10要素。しかも、いずれも比較的メジャー寄りと言える。

 それぞれの要素がもたらす効能を以下にまとめると…

 

  • 着痩せ/隠れ巨乳:女性らしさ(秘匿的エロス)
  • 銀髪:日本人離れ、高いフィクション性
  • スリーサイドアップ:可愛らしさ、あどけなさ
  • ツリ目:小生意気な印象(鹿島に対する第一印象)
  • 軍服:真面目な印象
  • ミニスカ:少女性(ないし若々しさ)
  • 素直で従順:「理想の女性」、あるいは「理想の秘書」
  • 練習巡洋艦:世話焼き、主導的、距離感の近さ(かつ向こうから接近)

 

 といったところである。カギとなるのは、

  • おっぱいがデカい
  • 少女らしくかわいらしい
  • ミステリアスな銀髪
  • 真面目
  • 素直で世話焼き

 

 あたりのイメージだろうか。女性性を担保しつつ、可憐な少女性をも共存させ、全体をどこか浮世離れとしたオーラで覆っている。真面目でありながら堅物ではなく、素直で従順であり、常に世話を焼いてくれる。

 早い話が「えっちな体のかわいい秘書」と言えるのではないか。あまりにもシコるには最適な条件がそろいすぎている。

 

 さらに、単独要素の発揮だけでなく、複合要素による相反性からなるシコリティ生成も認められる*3

  • 【外面の相反性】少女らしい見た目 <=> 大人の女性らしい体型
  • 【外面と内面の相反性】小生意気な外面の印象 <=> 素直で従順な内面
  • 【衣服の相反性】カッチリとした軍服 <=> フリルやスカートの華やかさ
  • 【印象と立場の相反性】あどけない雰囲気 <=> 教導者という立場

 いずれも、いい具合にギャップを生んでいる。ギャップ萌えという言葉は古来より存在するが、シコリティという観点において、ギャップは強烈な加点要素として響き、股間を勃起させることにつながる。

 

 以上を総合すると、鹿島はシコリティのフックが非常に多い。

 単体、複合ともにフックの数は多く、いずれも特殊性癖を持たずとも比較的理解しやすい。また、必要な情報はほぼほぼ外面で出揃っているため、わずかなパーソナリティ設定さえ一読すれば、艦これにログインせずとも射精が可能だろう。

 また、少女性が前面に押し出されつつも、肉体的な大人の女性らしさは強固に存在する外面は、「萌える」というジャーゴンの後継機として「シコれる」という言葉を定義する場合、「かわいらしくもエロい」という字義どおりのデザインを実現している、といえるだろう。

 萌えとエロのボーダーに立ち、多くの人がシコり得る要素を過剰搭載しつつも破綻させない構築はグッドデザイン賞に値するものである。

 その意味で、鹿島はシコリティのユニバーサルデザインに最も接近しているキャラクターであるといえるだろう。

 

「工業的」なシコリティについて

 しかしながら、まったくの個人の話で申し訳ないが、僕は鹿島でシコることができていない。

 たしかにシコリティは高いが、なぜかシコれるほどの熱量を感じることができない。個人的には浜風や朝潮の方が劣情を催す。

 なぜか。それは鹿島に最初に抱いたイメージが「工業的」だったと考えられる。

 鹿島を最初に見た時に、僕の脳内に浮かび上がったのは車の工場だった。フレームとタイヤをつなぎあわせるベルトコンベア。その上にこの銀髪の練習巡洋艦が乗っている姿を、僕ははっきりと幻視した。

 

 なぜか。それはどこか恣意的なものを感じたからだろう。

 鹿島に搭載されたシコリティ要素は、前述したが比較的メジャー寄りだ。巨乳も、銀髪ツインテ(スリーサイドアップだけど)、素直でやさしい、などなど。これらを理解して勃起するために、さほど特殊な手はずは踏む必要はない。まぎれもなく正統派美少女としてデザインされているからだ。

 さらに言えば、これら諸要素はさほどユニークというわけでもない。個別に切り出せば、練習巡洋艦という要素以外は、古くから存在するスタンダードなものだ。それらの絶妙なバランスが、鹿島のシコリティの寛容なのである。

 古くからのトラディショナルでスタンダードな要素を、精緻な配分で搭載したことで、鹿島はユニバーサルデザインに近しい位置に立つ。だが、それゆえに「デザインされたもの」という意識もまた、強まってしまうのではないだろうか。

 

 極論を言ってしまうなら、鹿島のシコリティとは非人間的である。そのシコリティとはアンドロイド的であり、そのあり方はセクサロイドといってもいいだろう。

 「シコれるアンドロイド」とはいっても、人によってはロボットであるというだけで、イマイチ気が乗らないということもあるだろう。そう思ったが最後、鹿島で射精することはかなわないのである。

 そのように感じるシコリティを、「工業的シコリティ」と呼ぶことにする。そして、ユニバーサルデザインへの接近は、いわば「工業製品化」を招く危険がある、という仮説が導かれるだろう。

 鹿島はかわいい。そしてエロい。それは間違いないが、それが100%シコりうるという保証には成り得ないのかもしれない。

 

今後の展望について

 無論、シコリティは個々人の嗜好に強く依存するものである、という前提は忘れてはいけない。工業的と感じ、イマイチ乗れないというのも、いわば僕個人の嗜好であり、万人が工業的ゆえにシコれないというわけでは決してない。

 だが、かわいらしく、そしてシコれる要素を、とにかく乗っければよいというものでもない。これはひとつの事実として受け止めるべきだろう。察している人もいるだろうが、「あざとい」と思われれば印象は一気に反転する。恣意的なデザインは、キャラクターの機械化につながるのえだる。

 とはいえ、鹿島のムーブメントは確実に強大になっている。すでにスケベ本のリリース予定が有名同人作家から寄せられている以上、冬はさながら連環の計がごとき鹿島島が拝めることだろう。

 シコリティのマジョリティを突き詰めた一人の練習巡洋艦が、今後艦これでどのように歩んでいくか、慎重に見届けたい。願わくば用済みのアンドロイドとして早期に廃棄されるという結末だけは、悲しいので回避されてほしい。

 

*1:鹿島(艦隊これくしょん) (かしま)とは【ピクシブ百科事典】

*2:検索結果は12/19時点のもの。

*3:ごちうさのココアを題材とした、相反性起因のシコリティについてはこちらを参照していただければ幸いだ。ごちシコ論入門 第1回 ココアと相反性 - うらがみらいぶらり