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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

2015年秋 ラノベアニメ聖杯戦争

PUBLISH アニメ

 ラノベアニメが多く放送されること自体は、別段めずらしいことではない。

 先の「冬の四大」は、近年稀に見るホットスポットだった。その理由は、単に「ラノベだから」ではなく、話の内容や方向性が全て近しいものだったからである。

 だが、それを差し引いても、1クール中7作品はさすがに多い。2015年秋は、紛れもないラノベアニメフィーバーである。

 だからどうしたと言う人もいるであろう。だが、7本全てが違うレーベルからの出陣、うち1本は四大の一角『新妹魔王の契約者』である。みんなだいすき石鹸枠候補生も、新妹魔王含めて4作品は存在する。異常震域である。

 夏は『空戦魔導士候補生の教官』という特異点に集約されていたが、その直後にこの大軍勢を目の当たりにすれば、ビッグバンもかくやという心地にさせられるだろう。

 その様相は、まさに「聖杯戦争」である。毎日がカーニバルと言っても誇張ではないだろう。僕自身の率直な感想を述べておくと、正の意味でも負の意味でもワクワクが止まらない状態だ。

 以下では、四大より始まった2015年を締めくくる大祝祭を、まぁざっくりざっくり覗いてみようと思う。

 

 

『学戦都市アスタリスク』

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 名家・MF文庫Jからは、石鹸枠の始祖『IS』の面影がチラつく学園バトル『学戦都市アスタリスク』が参戦した。

 土台がSFに、学園は6つになったとはいえ、中身はおおよそ『精霊使いの剣舞』であり、かつ『アブソリュート・デュオ』である。両者を足してSFで割れば、すなわちアスタリスクだ。あれよあれよとヒロインが主人公に群がりドンパチを繰り広げる原風景がそこに広がっている。

 品質面では、「高級石鹸」と謳われたデュオからさらに向上している。「戦闘シーンがみみっちくないデュオ」と言えばその感触が伝わるだろうか。しかしながら、校章のなんともいえぬクソダサ感や、必殺技名がデカデカと表示される公開処刑システムなど、ギャグ要素でも隙がない。極め付けはまさかの2クール放送である。

 MF文庫J正統後継者としてのポテンシャルを発揮しつつ、一歩踏み込む強気なスタイルは、穏やかな虚無たるデュオからの進化だろう。欠点は、「定型の虚無感」が随一という点から、他のサーヴァントよりも記憶に残りづらいことだろう。2クールという恵まれた環境を勝ち取った、名家の意地に期待したい。

 

『落第騎士の英雄譚』

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 一方で、分家のGA文庫からは、強力な刺客が放たれた。『落第騎士の英雄譚』は、双子と見まごうほどアスタリスクにそっくりな作品だが、本質は真逆のパワープレイヤーである。

 倍速じみた展開の早さながら、絶妙に挟まれたオリジナル要素で設定補完がなされており、その密度は新妹魔王第1話に勝るとも劣らない。「新妹魔王と禁呪詠唱を混ぜてスクライドでフランベした」としか言いようのない、想像を絶するパワーを秘めている。作画レベルもかなり高水準であり、今期のダークホースと言えよう。

 だがそうは言っても、言い逃れようのないテンプレ具合は事実である。要素としては、精霊剣舞からデュオ、さらには魔法科高校すらカバーしており、「最近のラノベの博覧会」と言っても誇張ではない。四大全ての集合体たる特異点・空戦とは異なり、近年の学園バトルラノベの集約としての特異点であることは間違いないだろう。

 メインヒロインのやたらスケベなボディと描写も相まって、総合的な火力は全サーヴァント中でもトップクラスである。2015年ラノベアニメの総決算としか言いようのない特異点として、今期の活躍が期待される。

 

『対魔導学園35試験小隊』

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 古参・富士見ファンタジア文庫からも刺客が送り込まれた。『対魔導学園35試験小隊』は、アスタリスク、落第騎士に続く、三騎目の学園バトル兼ラブコメハーレム枠である。

 先の二騎と比較してダークな雰囲気が特徴的だが、落ちこぼれの(だが強い)主人公に、前触れもなく飛び出すラッキースケベなど、石鹸枠認定には十分な素養を有している。しかし油断していると、ヒロインがマジカル二丁拳銃を呼び出してスタイリッシュマジカルガンアクションをかまし、その直後に主人公が覚悟完了を果たす。この強烈な不意打ちによって、アスタリスクと明確な差別化を実現してみせる。

 OPにはアフィリア・サーガを起用し、作品の雰囲気と致命的なコンフリクトを引き起こすなど、視聴者のアンブッシュには余念がない。

 ラッキースケベのねじ込まれ方が爆笑ではなく失笑を誘うこと以外は、全体的に安定した水準でまとまっている。マジカル二丁拳銃や覚悟完了ブレードなど、設定面の飛び道具率も高めであり、初心者向けジェットコースターとして楽しめるだろう。ただし、1巻2話ペースで進む禁呪方式を採用しているため、全体的にシーン削減されたであろう箇所が目立つ。初見では混乱をきたす可能性が高いのが欠点だろう。

ch.nicovideo.jp

 

『俺がお嬢様学校に庶民サンプルとしてゲッツされた件』

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 今回の聖杯戦争にて、バトル要素ゼロの純粋なラブコメが、一騎だけ存在する。その名を『俺がお嬢様学校に庶民サンプルとしてゲッツされた件』といい、真名を『俺がお嬢様学校に庶民サンプルとして拉致られた件』という*1

 一迅社文庫から召喚された本作は、学園バトルではないものの、実力は他作品に引けを取らない。人をなめたポーズでヒロインが踊り、尻穴にサイリウムを挿れたマッチョが唐突に現れるOPで、のっけから「只者ではない」と視聴者は思い知るだろう。

 お嬢様学校に主人公が強制編入させられる流れはまぁ王道だが、ギャグ的に突っ込まれるマッチョ、「世間を知らないお嬢様卒業生が社会に出たショックでネトゲ廃人になる」という説明、「スマートフォンを知らない」というお嬢様生徒の生態など、随所に「は?」と言いたくなる要素で満ちている。

 そのノリは『まよチキ!』や『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ!』などのラブコメ修羅道に近いだろう。クソスレスレのギャグとエロで塗り固められた殺戮マシーンのリバイバルである。

 無駄にダンディ坂野を宣伝要員にぶっこむなど、作品外部でもスキがない。聖杯戦争の真の「勝者」となる確率は、ある意味では一番高いと言えるだろう。

 

『ランス・アンド・マスクス』

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 修羅の戦場には、新参も馳せ参じている。『ランス・アンド・マスクス』は、ポニーキャニオンが新設したレーベル、ぽにきゃんBOOKSのローンチタイトルであり、Studio五組の脚本家・子安秀明氏が著者を、編集協力にStudio五組がタッチしている。ラノベアニメの寵児ともいえるこのサーヴァントの本質は、騎士の一点張りで突っ走るハートフルギャグアニメである。

 主人公は騎士道体質なる設定を持ち、現世騎士団なる組織が現れ、その後も騎士と長槍のセットがこれでもか、これでもかと突き入れられる。6歳のヒロインを救いに主人公が白馬にまたがって空港に突入し、滑走路では先輩騎士とジョストを行なう光景を目の当たりにすれば、「なんだこれは」と唖然とし、あるいは爆笑するだろう。だいたいの事象を「騎士だから」の一言で説明可能な姿勢は、騎士というより猪侍である。

 しかしながら、主軸は「主人公が孤独な幼女のために全てを尽くす」というハートフルドラマであり、バトルシーンは存外に少なめである。蒼樹うめばりに丸っこいキャラデザも相まって、全体的な雰囲気はきらら系に近しい。Studio五組がきんモザを手がけていることも無関係ではないだろう。

 破壊力は他に譲るものの、他のサーヴァントとかぶりにくい要素が多いため、生存率は案外高めの可能性がある。事実、幼女がメインを張るラノベアニメは、『ロウきゅーぶ!』や『ブラック・ブレット』など、オンリーワンな立ち位置を確保するケースが多い。槍のように一転特化な騎士の健闘やいかに。

 

『ヘヴィーオブジェクト』

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 気管が焼けただれるような狂宴に、あの大家も名乗りを上げた。『ヘヴィーオブジェクト』は、とあるシリーズでおなじみ鎌池和馬が手がける、電撃文庫出身の作品だ。

 近未来の地球を舞台に、武装したソルディオスやアッザムみたいなものがグオングオン動く、といえば分かる通り、七騎の中でも明らかにジャンルが異なる。カラーの差異はランマス以上であり、その時点で一定のポジションを確保していることは明らかだろう。制作も安定のJ.C.STAFFである。

 品質面では問題無しだが、「ヘヴィー」の名は伊達ではなく、体感時間はかなり長い。アバンから長々しい解説が語られ、セリフ回しも「おう、おう、まだ終わらんか」と思うようなものが多い。はっきり言って冗長である。これら全てを鎌池和馬らしさと受容できれば問題ないが、人によっては開幕全裸少女メソッド以上に堪える可能性もある。

 1話まるごとアバンといってもいい超重電撃兵器。安定しているかもしれないが、バランスを崩して沈没することも念頭に置くべきだろう。

 

『新妹魔王の契約者 BURST』

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 その名をおぼえている者は多いだろう。ハイパーアクメバトルファンタジーとして、四大の中でも頭角を現した『新妹魔王の契約者』の第2クールである。およそ半年のクールダウンを経て、再び戦場に舞い降りた怪物は、やはり相変わらずであった。

 のっけからおなじみの規制カットが現れるのは序の口。ビスチェ姿でメス犬ポーズになり、おっぱいで風船を挟み割るなど、やりたい放題。ヒロインが真顔で「強くなるためにメス犬になった」と言い放つ作品は、後にも先にも新妹魔王しか現れないだろう。

 文脈の断絶も健在であり、なんの前触れもなく現れた新キャラが主人公とごく普通に会話を始めるシーンを前に、視聴者は「俺、もしかして寝てた?」と本気で困惑することだろう。

 変わらぬバーサーカーっぷりを見せつつも、予算面では豊かになったのか、OPがまるで別アニメかのようにグリグリ動くようになった。が、本編の作画は早速綱渡り気味で、やはり変わらぬ姿で我々を和ませる。もちろん、乳や尻への作画の入れ込みようは異常である点も相変わらずである。

 四大としての力を遺憾なくBURSTし、修羅揃いの此度の聖杯戦争にあっても、優勝候補にふさわしいオーラを放っている。また、聖杯戦争に参戦する一方で、真のライバルともいえる『ヴァルキリードライヴ マーメイド』とのエロ枠怪獣大決戦も平行開催中であり、こちらからも目が離せない。今年の開幕投手は、今年のクローザーにまで上り詰めるのだろうか。

ch.nicovideo.jp

 

 

まとめ

 以上が、今回の聖杯戦争にエントリーした、七騎のサーヴァントの概要である。

 安心してほしいのは、いずれも空戦よりははるかに動き、はるかに作画がよいという点である。それどころか、四大をも凌ぐものも存在する。まさに2015年の集大成といえよう。

 なお、今クールには『緋弾のアリアAA』も存在するが、ラノベ原作のコミカライズスピンオフなので除外した。とはいえノベライズ版も存在するらしいし、第八のサーヴァントとして参戦するには十分な資格を持っている。

 この狂宴において、全作品を巡るには相当な体力を必要とするだろう。僕自身も7つとも全話回収できてはいない。幸い、観ようと思えばニコニコでも巡礼可能なようなので、腕利きのウォーモンガー各位はぜひこの激戦地へ足を運んではいかがだろうか。

 

 あと、上記文章ではなんかフェアではない気もするので、モロに個人的な一言感想を以下に添えておく。

  • アスタリスク:虚無。最上位の虚無。
  • 落第騎士:クッソテンポの悪い原作からここまで昇華すると舌を巻くよね。
  • 対魔導:粗が非常に多いけど、覚悟完了した時点で心を持ってかれた。
  • ゲッツ:破滅。それ以外に言葉はない。
  • ランマス:個人的に優勝。こういう頭の悪い作品だいすき。
  • ヘヴィー:アームズフォートの一騎打ち戦争というのはいい。セリフなげえ。
  • 新妹魔王:もうなにもかもダメだよこれ、最強。