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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

これまでの『空戦魔導士候補生の教官』

アニメ PUBLISH

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 夏アニメもすっかり折り返し地点にさしかかろうとしている。すでに各々の今季推し作品も固まり、日夜布教や論争、あるいは自家発電にはげんでいることだろう。

 話題性なら『がっこうぐらし!』、安定した癒やし枠に『のんのんびより りぴーと』や『干物妹!うまるちゃん』、超絶作画の『GOD EATER』、おっさん枠の『GANGSTA.』、麻枝准新作の『Charlotte』、ギャグならば『監獄学園』と、その多様性は夏にしてはとんでもないものとなり、夜な夜なテレビをにぎわせている。なにやらきな臭い枠として『ケイオスドラゴン』や『Classroom☆Crisis』も完備している。

 では、今季で最も「リアルタイムで観るべき作品」はなにか? それはいわずもがな、今季の特異点こと『空戦魔導士候補生の教官』であろう。「冬の四大」を濃縮したグランドクロスはもはや自然災害であり、自然の雄大さは己の目でリアルタイムで焼き付けるべき。そうでしょう?

 えっ? まだ空戦していない? それはもったいない!

 幸いにもまだ折り返し地点である。というか、この文を書いているまさに夜に、空戦の第6話が放映される。

 まだ間に合う。ぜひ、一人でも多く空戦へ漕ぎ出してもらいたい。そんな思いで、以下ではこれまでの空戦についてざっくり振り返っていく。このエントリーを読み終わったら、ぜひインターネッツでも録画でも、特異点へのフライトを開始してほしい。

 

1話「E601小隊」――特異点の産声

 記念すべき初回空戦であり、特異点誕生の瞬間である。

 これについては、以下の記事にて、空戦の根幹ともいえる「最強への方程式」とともに記させていただいたので、片手に読みながら1話を視聴していただければ幸いだ。

wasasula.hatenablog.com

 

2話「最強の裏切り者」――特異点の基礎固め

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 特異点とも呼び得る異様な仕上がりを魅せつけてきた1話。その翌週に放映された2話は、端的に言えば「1話と地続き」である。

 はじめての特訓シーンでダイナミックな空戦描写が見れるという希望も束の間、CG部分は遠巻き撮影、空翔ける鬼ごっこは横スクロールシューティングとなり、質素な絵作りは堅実に守られている。レクティの剣戟シーンでさり気なくカットの使い回しが行われているのも味わい深い。全体的に派手なエフェクトを抑えめにした戦闘シーンからは、先代の「飛行を持つディオメディア」こと『銃皇無尽のファフニール』の血筋を感じることができる。

 また、空戦シーンの民族サウンド以外は、寝落ちへと誘うヒーリングBGMでほぼ統一されており、視聴者はバタ臭いARIAとの長時間の対面を強いられる。タイムスリップ感を味わうような異様な効果音選びも健在であり、レクティの乳房アップカットで聞こえる「ポポポポンッ」というSEを聞いた時、脳裏に『平成狸合戦ぽんぽこ』が去来するだろう。

 個人的な所感としては、1話と2話は地続きである以上、間を挟まずぶっ通しで視聴するべきと思われる。この1時間が空戦のいわばチュートリアルであり、以降の空戦における基礎になることを理解しておけば、「最強への方程式」への道はグッと近づくことだろう。

 

3話「最弱がもたらす可能性」――禁呪の目覚め

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 さて、虚無の広がる1話と2話を抜けて待ち受けるのは、稲垣メソッドが牙を剥く3話である。

 この回は空戦もせず、人格改善のためのコスプレ行脚を行なう、ともすれば1話2話以上に退屈な回に見える。だが、片鱗を見せていた「異様な音選び」が爆発し、シュールギャグとして開花を果たしている。

 まずメイド姿でビラ配りをするレクティの前に、モブ男子3人組が現れるシーンでは、明らかにこれまでと異なるノリのサウンドが流れ出し、「メイドなのです」という耳を疑うセリフとともに、文脈の断絶から生じる笑いを生み出している。CV:安元洋貴のメガネが小路綾クローンに惚れる場面でも、唐突な初使用のBGMと謎エフェクトによって、一転して禁呪詠唱式のギャグパートへ変態を果たしている。

 いずれも原作には存在しないシーンであり、素材を巧みに調理して笑いを作り出す稲垣監督の手腕がうかがえるだろう。一方で、静かに涙をながすアイス屋さんのワンカットでは、文脈の断絶に頼らないシュールな笑いを作り上げ、ワンパターンではない技巧派としての側面も垣間見える。

 しかしヒーリングBGMパートの比率は依然として高く、視聴者は広大な砂漠でラフレシアを探すような心地になること必至である。どこかありがたみの薄いラッキースケベなど、頭痛の種もきっちり完備している。

 とはいえ、3話は明らかにエンターテイメント性が突出しており、この唐突なインメルマンターンの価値は計り知れない。

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 なお余談だが、モブとしてさり気なく赤城加賀デュオが映り込んでおり、自社資産を貪欲に活用するディオメディアのたくましさも注目に値するだろう。

 

4話「忘れざる過去」――ただのクソアニメなんて言わせない

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 では4話目も禁呪式な笑いかといえば、空戦はここにきてめまぐるしいアクロバティック飛行を見せる。

 この日、タイムラインは異様に静かであり、恵まれたEDが流れ出したところで、ぽつぽつと息を潜めた空戦魔道士たちが感想を漏らした。

「今週の空戦、普通におもしろくね…?」

 なんという番狂わせか。だが事実として、4話は空戦ベストエピソードに認定しても決して誇張ではない。それだけの手堅い仕上がりを叩きだしたのである。

 4話はメインヒロインのミソラが、不適性な武器と分かっていても魔砲剣にこだわる理由が描かれる、いわばヒロイン掘り下げパートである。その理由とは端的に言えば「死んだ空戦魔道士の母の遺志を継ぐため」なのだが、「ミソラの母ちゃんは死んじゃったんだよ〜」とさらっと語られるだけの原作と異なり、アニメ版はオリジナルの過去パートによって補完している。原作でさらっとしか触れられない「魔甲蟲に殺された人は魔道士以外の人の記憶から消える」という設定も、突然「そんな人(=ミソラ母)はいないよ」と言動を変える描写によって、かなり有効活用されている。「忘れられた母を思い出させる」という動機が、「死者が忘れられる世界」の不気味さによって強調され、ここに限って見ても原作が巧みに調理され、これまで実況で茶化していた人間が黙って視聴するという事態まで生み出すほどになったのである。

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 一方で、異様な高度へぶん投げられる「たかいたかい」や、洪水を引き起こす洗濯機といったギャグシーンが、謎のウエスタン調BGMとともに展開されるという、なかなかに常軌を逸した映像構成も健在であり、これが空戦であることを忘れることはない仕上がりとなっている。安元洋貴演ずるストーカーメガネも健在である。とはいえ、一つのエピソードとしては相当な完成度であり、単なるクソアニメとは言いがたいファンタジスタとして空戦が成長していることを感じ取れるだろう。

 

5話「勝利の鍵は」――原点へ還る

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 無難な「いい話」で終えた4話を経て現れた5話は、「よい子の空戦魔導士講座〜」で出鼻をくじいてきたと思いきや、まさかのOP完成によって謎の高揚感をもたらし、開幕から視聴者を混沌へ叩き込んでいく。

 2話以来ひさびさの空戦特訓シーンが待ち受けると同時に、5話にしてようやく本格的な教導めいたことが行われるため、タイトル倒れではないと安心した人もいるだろう。また、赤と黄色に立て続けに頭ポンが実行され、石鹸枠としていよいよ本格稼働が開始されたこともうかがえる。全体的な雰囲気は2話に近く、異様なギャグ回の3話と無難な良回の4話から一周して戻ってきたような心地をおぼえることだろう。

 かといって凡夫のような30分かといえば、この時点の原作では行われないリコの掘り下げがなされ、「最終決戦時に唐突にメガネをかける」という不自然な流れを事前に潰す動きが見られる。3〜5話でE601の各メンバーに一度はスポットライトが当たる構造に改築が行われたため、全体的な流れの違和感がだいぶ解消されている。この改変は地味ながらも的確であり、禁呪詠唱でもちらほら見られた「さりげない改良」の息遣いが感じられる。

 なお、5話では初のCパートが実装され、そんな小粋な芸当ができるアニメかと舌を巻くことだろう。そしてこのCパート、および予告からある程度察した方もいるだろうが、次の6話で(おそらく)1巻分の話が完結する。これを踏まえると、文字通り折り返しを控えた1話として、さりげないアシストが小気味良いものに感じされるだろう。

 

6話に向けて――「最強への方程式」の行き末は

 1話放映前から「約束されたクソアニメ」などと言われ、その期待に存分に応えてきたが、3話の異次元ギャグパートや、恐ろしいほどよくできた4話など、すでに単なるクソアニメとは違うなにかへと進化を始めている、それが空戦という特異点である。

 全体を通した最たる特徴は「ゆっくり進む」という点であろう。1巻を6話で消化するというスローライフっぷりは、1巻分を2話でコンスタントに駆け抜けた禁呪詠唱とは真逆のスタイルである。このスローペースからなる時間伸長感覚は、視聴者に長生きの錯覚すら与える。空戦を経験すると体感で長生きができる。素晴らしいことではないか。

 他にも、原作からちょいちょい変えて補完を仕掛けるなど、純粋に感心する点も多々見られる。なによりCMを含めた全編を通してネタには事欠かない。Aパート明けの「おっせえな…いや、俺が早えのか?」はお約束である。

 水曜深夜0:30の空戦は、総合的エンターテイメントであり、同時に未知への旅路でもある。このドライブ感は、リアルタイムで享受できればさらに楽しさが広がるだろう。今からでも遅くない。未視聴の人もぜひ追い空戦と洒落込もうではないか。我々にはこの「最強への方程式」を見届ける権利がある。

 

今すぐでも空戦に旅立ちたい人へ

空戦魔導士候補生の教官 第1話「E601小隊」 ‐ ニコニコ動画:GINZA

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