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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

必殺技でぶん殴っていけ 〜『血界戦線』第1話所感〜

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 『血界戦線』の第1話が放映された。ニコニコ動画でも配信が開始され、多くの人が手に取れる状態となっている。

その感想を一言で述べると「意外な出来」であった。品質の問題ではなく、「なるほどこの方向できたか」という意外性である。というのも原作エピソードがものすごい情報密度であるのに対し、アニメ版の第1話は想像以上に情報を削いできていたので、面食らった次第だ。

しかしながら、さっそく血界戦線らしさも映像として姿を見せ始めたので、2話以降がどんどん楽しくなる可能性も十分に見える。以下で、1話に関して思ったことについて。

 

 

1話まるまる使ったアバン

第1話「魔封街結社」は、おおまかに3つのパートに分けられる。

  • アニメ版全体アバン(タイトル表示までの冒頭2分)
  • 第1話アバン(「数時間前」と表示される5分半まで)
  • 第1話本編

つまり、導入部が5分ほど存在する。もし「サブタイトルが表示されるまで」を導入部と定義するなら、その時間はおよそ9分である。

実際に見た人は感じたかもしれないが、この導入はかなり長い。さらに情報密度はほどほど、加えて同一シーンのダブりも存在するため、「長いなぁ」という体感はさらに増大する可能性もある。

しかし、没入感はかなり強い。特に第1話アバンは、ヘルサレムズ・ロットという異世界な舞台を、露骨なキャラクターの解説を用いず、街並みや住人の姿、インサートされるニュースから「雰囲気」を作り出すことで伝えようとしている。この手法は引き込みが強い。個人的にはとても好きなアバンだ。

 

 

原作の情報密度と比較して

なんとなんと、ちょうどニコニコ静画で原作1〜2巻が無料で読める。

seiga.nicovideo.jp

こちらの原作、アニメを観た人には一度目を通してもらいたい。「こんなにごっそり削ったんだ」と驚くはずだ。

とにかくほとんど異世界の非日常を描く物語の1話なので、世界観や作品設定の提示が多くなるのは当然なのだが、それにしたって原作1巻はすごい情報密度なのである。あれよあれよと設定情報と視覚情報が積まれていく感覚は、「情報の雪崩」と表現するのが適当だろうか。

そもそも、原作1巻のおよそ7割、だいたい140ページくらいが、アニメ版第1話に相当する。そんな分量をそのまま30分の映像に落としこむのは不可能に近い。よって、ある程度は割愛していくのは当然だろう。

その省略基準だが、個人的な感触としては「主人公・レオの視点から見た一連の事件」を優先的に残し、それ以外のキャラの視点は割愛しているように思う。原作はヘルサレムズ・ロットの住人が入り乱れる物語だが、アニメは「レオの物語」にさらに収斂させていくのでは、というのが僕の予想だ。

 

 

技名を叫んで全てをぶん殴るアニメ

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前項までは「全体の構造」と「原作との比較」、作品の全体と外部に目を向けた感想だった。そこで作品の細部、いわば1シーンに目を向けてみると、やはり必殺技シーンが圧倒的な訴求力を持っているのである。

画像はクラウスの「旋回式連突」ぶっ放しシーンだが、このカット、原作のシーンを忠実に再現している。「見開きいっぱいに描く必殺技に、見開き両端ぶち抜きの技名」こそ『血界戦線』なのである。

原作の必殺技シーンは迫力というか、ある種の説得力がすさまじい。「あぁ、これは必殺技だ、間違いない」と納得できる力を持っているのである。そして映像化にあたって、技名テロップを描いたのは英断だったと思う。技名がなかったら魅力が半減するといってもいい。

こういった技名のあるバトル漫画は、やはり「絵と技名テキスト」を同時に存在させられる点が長所だ。絵と文字の組み合わせは、噛み合えば訴求力は自乗化され得る。最近アニメ化された方のジョジョは、特徴ともいえるオノマトペテキストをそのまま映像に乗っけたことで、絵にさらなる迫力を持たせている。『血界戦線』もまた、この法則に乗っかりうるだろう。

 

 

まとめ

個人的な感想としては、情報密度的には原作比で物足りなく、冒頭の二段アバン含めて全体的に時間の流れがゆるやかなのが気になった。しかし、やはり必殺技シーンがすごい。とにかく「このスタイルにしてくれてありがとう!」である。

戦闘作画もなかなかによかった。ザップの大蛇薙→七獄の一連の流れとかすごいですよもう。これがさらに連発されようものなら間違いなく失禁する。

二段アバン自体は、「あとで振り返ってみたらとても意味のあるシーンだった」と思わされるギミックが仕込まれてる可能性も高いので、今のところは好意的に受け止めている。というか、釘宮オリキャラの存在でどうなるか読めないのである。原作モノだが、半分くらいはオリジナル作品として構えた方が、より楽しめるかもしれない。

必殺技の訴求力と、異世界の雰囲気感が混ざり合った、個人的には不思議な感覚の1話だった。今後もっと化ける可能性は大いにある。現時点では、とにかく2話目が観たい。ただし、この間延び感が続くとちょっと苦しいかもしれない。