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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

ホシトハナ 〜魔法少女、およびアイドルのモチーフに関して〜

キャラクター PUBLISH

魔法少女にはモチーフが与えられることが多い。魔法少女というより、変身ヒロイン全般だ。

モチーフの傾向として多いのは、「星」「花」だろう。「スイーツ」「音楽」「四大属性」「童話」も多い。これら以外のモチーフを取り込んでいると、変身ヒロインとしてはレアケースに分類されるような気もする。

 

そんな変身ヒロインのモチーフの中でも、「星」と「花」の双方にタッチしている作品がある。『結城友奈は勇者である』だ。同作のオープニング楽曲『ホシトハナ』は、「星」と「花」のイメージ的な対比について言及している。サビ部の歌詞を引用したい。

咲き誇れ 想いのままに

この瞬間 全てを賭けて

無限の星すらも霞むように

勇気 心に溢れ

いかなる時も生きて

この歌詞において、花は瞬間の存在として、星は永遠の存在として見立てられている。そして作中において、「花」のモチーフは変身ヒロインたる勇者部に、「星」のモチーフは黄道十二星座として敵たるバーテックスに、それぞれあてがわれている。

「花」のモチーフを与えられた勇者たちは、作中では「満開/散華」という形で、刹那性を背負う存在として描かれている。そして、最終的に「御役目」を終えて日常に帰っていくことで、「変身ヒロインとして刹那的」という見立てが可能だ。世界を救う彼女たちの姿は、春先の桜の花のように、一瞬の存在なのである。

 

 

一方で、「星」のモチーフを背負った変身ヒロインとしては、『魔法少女リリカルなのは』が挙げられるだろう。

主人公の高町なのはは、名前こそ「花」を連想させるが、魔法イメージとしては「星」のモチーフを与えられている。「スターライトブレイカー」という必殺魔法が象徴的であるし、「星の輝き」という彼女のイメージBGMからもうかがえる。変身呪文にも「星は天に」というフレーズが存在する。

ゆゆゆにおいて、「星」とは「永遠」の象徴だったが、なのはも「星」の持つ「永遠」のイメージを自身の内に取り込んでいる。彼女の魔法少女としての活動は1クールでは終わらず、「異世界の嘱託魔導士として就職する」という形で、作中内時間で10年以上のキャリアを積むことになるのだ。20代を超えた時系列作品では「魔法少女」という肩書がタイトルから外されるほどの活動歴は、「永遠の星の輝き」といっても差し支えないだろう。

そして人によっては、「星」といえば「月」という形で『美少女戦士セーラームーン』を連想する場合もあるだろう。月野うさぎに至っては、銀水晶の力によって不老不死になる。10年以上という高町なのはすら霞む、文字通りの「永遠」の存在である。

 

変身ヒロインから視線を移し、女性キャラクターとして変身ヒロインに並ぶ花型・アイドルのモチーフについてもふれたい。

現在進行形で放映しているアイドルアニメは3種あるが、そのひとつ『アイドルマスター シンデレラガールズ』に目を向けると、この作品は「星」のモチーフをプッシュしているように思う。OPの歌い出しが象徴的だ。

精一杯 輝く

輝く 星になれ

曲名もずばり『Star!!』である。おそらく同作では、アイドルとは「星」のように「永遠」に輝く存在として見立てられているのだろう。事実、アイドルという偶像は、「あのアイドルはすばらしかったね〜!」という語りによって、永遠のものとして人々の間に浸透していく存在のように思う。

その一方で、「花」をモチーフにすえたアイドルは、案外見かけない気もする。もしかすると、「一瞬のうちに散る」というイメージが合致しないのかもしれない。そのイメージと合致し得る存在は『ラブライブ!』のスクールアイドルだが、μ'sはすでに純粋な「アイドル」の域に達しているだろう。

 

ひるがえって、変身ヒロインのモチーフに話を戻す。そもそもの話、僕が変身ヒロインに入れ込む最初の一歩となったのは、『カードキャプターさくら』だった。

木之本桜は、「星」を表象する魔法の担い手となる。杖も大きな星があしらわれ、魔法陣も大きく星が描かれる。そして彼女は、物語を終えても魔法を失うことはなく、「世界で最も魔力を保有する存在」として歩むことが示唆される。「星」の持つ「永遠」のイメージである。

しかしながら、彼女の名前は「桜」、すなわち「花」だ。『カードキャプターさくら』という物語は、魔法少女としては完全に活動を終えることで幕を閉じる。原作ラストカットは、想い人と再会する、少女漫画として王道のシーンだ。その姿は「変身ヒロイン」としてのものではない。「花」のモチーフとして、魔法少女としては永遠ではないことを暗示していると、僕は考えている。

この両義性ゆえに、未だに「魔法少女」といえば木之本桜が連想されるのかもしれない。

 

「星」という永遠の存在と、「花」という一瞬の存在。

双方とも、ベクトルこそ異なれども、「少女」というイメージを鮮烈に描くにあたって、とても効果的なモチーフだ。

モチーフだけで、それこそ物語の方向性をも決め得る。そういったことを知っていれば、創る時はもちろん、観る時にも大いに助けとなる。

もし、鮮やかに輝くキャラクターをアニメなどで見つけたら、まずは「星か花か」というものさしを当ててみるとよいかもしれない。「どのように歩んでいくか」ということがわかれば、見守り方もおのずと決まる。それは、キャラクターへの好意を深めるために役立つだろう。