読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

光り輝く舞台へ飛び出せ 〜シンデレラガールズ3話所感〜

アニメ PUBLISH

f:id:wasasula:20150128234636p:plain

「1話最高!シンデレラガールズ最高!」とか言ってたら、3話であっという間に1話の「最高!」を超えてきた。シンデレラガールズ、今のところ天井知らず。例によって普通にしゃべり散らします。

最高要素の中核を担ったのは、もちろんライブシーンでした。どうにもラブライブ!以降からアイドルものが高確率で好みにぶっ刺さるようになったことを除いても、3話のライブシーンはいろんな要素が小気味よかったし、その上で「落として叩き上げる」という話を持ってきたので、手堅くも爽快感ばつぐんでした。

ともかくすごいと思ったのは、「薄暗い緊張した舞台裏」から「光り輝くステージの上」への転身に、「せり」という舞台装置を持ってきたところ。露骨なんだけど、使い方が絶妙すぎて許せるというやつでした。以下、3話について思ったこともろもろ。

 

 

舞台裏という社会

数年前のアニマスや『輝きの向こう側へ!』でも、アイマスは「アイドルという職業」についてクローズアップしようという方向性を感じることが多い。まぁそれが本来なら常道なんだけども、ラブライブ!が「スクールアイドル」なる概念を提唱し、アイカツ!が「スターライト学園」なる場所を創設したことで、「アイドルは学生活動の延長」という視点が生まれているように思うんですよね。

「かわいい女子学生が光り輝くぜ!」みたいなノリ、ある意味正しいけど、ある意味正しくない。だって世の中には20歳を超えたアイドルがたくさんいるし、そもそもアイドルは芸能事務所に属する存在なのだ。それをあらためて提示したのが、シンデレラガールズ3話なのだと思います。

卯月・凛・未央の三人衆は、城ヶ崎美嘉に誘われて初めてのステージに臨む。メイン出演者の楽屋に入り、憧れの先輩にワイワイするところまでは2話と同様。そこにやってくるのが346プロの偉い人。そして、この偉い人を前にして、メイン出演者の5人の表情が変わり、「よろしくお願いします」と頭を下げてあいさつをする。この時、はしゃぎ気味だった未央が気圧された表情を浮かべるんですよね。「やべっ、これ仕事だ」と、今さらになって気づいたという。

f:id:wasasula:20150128234106p:plain

そしてこの美嘉の顔。おちゃらけないんですよね。マイクテスト中の声もとてもハキハキしているし、完全に仕事モードになっていることが伝わります。普段は力を抜いても、本番はしっかり気を引き締める。3話で描かれる「職業としてのアイドル」の姿は、2話のソシャゲっぽい顔見せとは対照的に映るなぁと思う次第。

ラブライブ!を見てると「アイドルだけいりゃなんとかなるんだ」と思ってしまう時があるけど、実際にステージを動かすには無数のスタッフが必要だし、そもそもライブを開くために芸能プロが動く。いわばひとつの社会ともみなせるわけです。その中心に咲く花であり、周りの手助けなくして咲けないのがアイドルという存在なんですよね。だからこそ真剣に取り組む。「決して遊び気分でも、浮かれ気分でもない」という空気が、バックダンサーとしてやってきたアイドル見習いの3人を飲み込もうとするのが、3話の見どころのひとつでした。

 

「花屋の店番」は小さな経験値に

f:id:wasasula:20150128234217p:plain

リハはうまくいかず、張り詰めた舞台裏の空気にあてられ、サンドイッチものどを通らなくなる。「新人の緊張」がこれでもかと描かれる中で、特に未央が完全に無口になるのがすごく衝撃的でした。2話と3話前半であれだけムードメーカーとして立ちまわったのに、凛に声をかけられて「へっ…?」と消え入りそうな声を返す姿が、「現場に飲まれる」という現象を端的に表していたなーと。

そういった状況で、凛だけは比較的肝が据わっていて、卯月と未央に喝を入れる。不安げな表情を浮かべつつも「…行くよ」と言う姿はまさに主人公。「うわぁ〜1話の時計の針がどんどん進んでるぞコレ〜!」とひたすら感動していました。

この時の凛、なぜテンパったり潰れたりしなかったのか。

「クール属性だから」「アイドルになった実感がない分、必要以上に気負っていなかったから」という理由も考えられるんですけど、個人的には「花屋で店番をしていたから」というのがあるんじゃないかと考えました。

花屋の店番はいわば接客業で、不特定多数の人と接し、会話を交わす機会が多めな仕事だと思われます。渋谷凛といえば「無愛想」というイメージがついて回りがちですが、1話の店番シーン(卯月が花を買いにくるところ)を見る限り、接客時の態度はいい方に思えるんですよね。天性のものとも考えられるけど、接客という社会経験がそこそこあるとも十分に考えられる。加えて、卯月との会話からアネモネの花をすすめてくるあたりから、相手の気を汲み取る能力・経験もあるとも推測できる。そう考えると、凛には3人の中で「舞台裏の社会」に一番耐性があるということになるし、呑まれかけた未央を引き戻す役を引き受けることもできる、という見方ができるんですよね。

卯月は物販の手伝いをしたことがあるとは言っても、花屋の娘ほど場数はこなしてはいないだろうし、未央はその手の話題が出てきてないように思えるので、未経験の可能性が高い。そうなってくると、経験値がほぼゼロな未央が潰れかけるのは、ある意味当然の流れなのかもしれません。

これを踏まえると、アイドルって異業種から転身した方が長生きするのかな、なんてことも思ったり。転職組のシンデレラガールズ、結構いますよね。

 

せりから飛び立つアイドルたち

男の子の夢といえば、ロボットにのってカタパルトから出撃すること。多くの少年は、一度はガンダムに乗って「いきまーす!」と言ってみたいと思ったはずだ。

これを女の子版にコンバートするとどうなるか。「魔法少女かな」と自分は考えていたが、3話を見て「せりからステージへ飛び出す」こそ、カタパルトから出撃する夢の女の子版ではないのか。そんなことを思うくらい、3人がステージへ飛び出す場面は心をゆさぶってきました。

このシーン、振られていることがはっきりわかるサイリウムが細かいなと思ったりしましたが、それ以上に飛び出した直後に無音とスローモー、まばゆいばかりの3人の笑顔のクローズアップで、「魔法がかかった」と息を呑まされました。

直前までが、薄暗い舞台裏だったり、白みがかった控室だったりでネガティブだったのが一転、飛び出した先はまさに光の海。夢見る舞台へ飛び出した、彼女たちの感激がドドンッと伝わる、現時点で最高の名シーンです。もう最高。本当にマジで最高。これだから「アイドルものは最高」って言っちゃうんですよ。

この場面のなにがそんなに気に入ったかといえば、冒頭にも記した通り、「せりで物理的に上昇させる」というところなんですよね。「視覚的な上昇」と「精神的な高揚」をリンクさせれば、問答無用で感動に変わる。登山で頂上から見える景色が絶景に見えると同じです。

手堅くて露骨な演出ですが、こうも効果的に使ってくるあたり、アニマスで得られた経験値は伊達ではないと思い知らされました。ライブ直後の秒針が動くシーンと合わせて、絵で訴えかけるのが非常にうまくて、ただただ感心させられています。

 

その他余談

  • 冒頭のインスマス作画だけでなく、ところどころで微妙に作画が崩れていた回でもあった。でもライブシーンだけで記憶から吹き飛んだ。注力すべきところに作画力が注がれていれば、細かいところは気にならなくなるのかな、という気付き。
  • 前川みくにゃんの扱いが矢澤を彷彿とさせて笑った。それでも「チュートリアルで最初にぶっ倒すので原作再現」と言えてしまえそう。
  • デレマスはにわかレベルで、城ヶ崎美嘉がどんなキャラか知らずに見ていたためか、3話前半までと3話後半からのギャップがすごく魅力的に映った。いざ仕事となれば真剣になる先輩。これも王道ゆえに突き刺さるものがある。
  • 数カットだけで「かわいい」と思える小日向さんとみりあの破壊力よ。