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シンデレラに時計で殴られて最高だった話 〜シンデレラガールズ1話所感〜

艦これ界隈が阿鼻叫喚の口論を繰り広げていた週末、もう一つの巨大ソシャゲアニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』が幕を開けた。

その感想を率直に述べると、

もう、最高。マジ最高。

あまりにも最高すぎたので、もうですます調で普通にシンデレラガールズがよかった、という話をする次第です。

(比べるのもアレだけど)艦これが微妙な出来になったのに対し、特に好きなわけではなく「モバマス」という言葉を使っていたのに、たった1話で「シンデレラガールズ」と呼び続ける呪いにかかったほど、シンデレラガールズ1話は非常によかったです。いやホント、この1話を見るまでは、僅差で「艦これ>モバマス」だったのに、たった30分で「シンデレラガールズ>>>艦これ」に化けたのは、ただただ笑うしかなかった。

ただ、気に入ったポイントしては「コンセプトとモチーフでぶん殴る」というもので、そこは過去気に入ったアニメに共通するところでした。それがアイドルという土台で何倍にも効能が増大し、かつぐるぐる動くのでさらに倍増したのだと思います。

時計を持ったシンデレラに、笑顔で真正面からぶん殴られる。それがいかに最高な体験だったか、以下に記していきます。

 

 

シンデレラガールズがその名の通り、「女の子がアイドルになるシンデレラストーリー」というコンセプトを打ち出していたことは、島村卯月がSR化した時に感じた人はいたと思います。ただ、シンデレラというモチーフを全面に持ちだしてきたのは、おそらく2周年記念PVなんですよね。

このPVのシンデレラモチーフを、アニメでは冒頭ライブでのっけから使っている。ドレス衣装9人がステージ上に立つ姿は、変形学生服みたいなアイドル衣装が氾濫する昨今では、あまりにもビビッドで強いインパクトを持っていた。「そうだよ…これがアイドルだよな!お姫様なんだよな!」みたいな感動をおぼえました。

で、この展開自体はなんとなく読めてはいたけど、冒頭からシンデレラガールズはさらにシンデレラモチーフで殴りかかってきたんですよね。3人が立つ階段を転げ落ちるガラスの靴もだけど、やはり「時計」のモチーフがすさまじい。

「0時になると魔法が解ける」というのがもともとのシンデレラですが、シンデレラガールズでは「0時になると魔法がかかる」という論法で話が進んでます。冒頭シーンから「進む時計」が描かれるし、島村スクールで「調整中」と張り紙されていた時計が、武内Pの登場で張り紙が剥がれる。どうです。この露骨なまでのモチーフ全押し。「時計が進めば彼女たちの物語も進む」って、すごく王道な暗喩なだけに最近じゃあまり見れない気がして、逆に新鮮だし、気持ちいいんですよね。各所でたまに聞こえる時計のクロック音も、「いま彼女の物語は前進中だ」ということを感じさせて、すごく気持ちいいです。

 

それでいてタイトルもめちゃめちゃコンセプトにのっていて「最高か」ってなりました。

「Who is in the pumpkin carriage?」ですって。これがシンデレラストーリーじゃなきゃなんだと言わんばかりに、ド直球なタイトル。もう惚れましたね。

作品タイトルと1話タイトルでモチーフを統一させ、そこに「シンデレラ」のモチーフのひとつ「時計」「ガラスの靴」などが惜しげもなく投入され、「シンデレラストーリー」というコンセプトが申し分なく支えられているわけです。その上で、「アイドルを夢見る少女」の島村卯月と、「なにか夢中になれることを探す少女」の渋谷凛が、シンデレラプロジェクトのプロデューサーと出会い、かぼちゃの馬車に乗り込んでアイドルとして一歩を踏み出す1話のシナリオが注がれ、外観も中身も統合された第1話が生まれたのです。

こんなにコンセプト面で一貫性を持たれてしまい、僕は初見で前身を貫かれるような衝撃をおぼえました。前期で僕にとって最高のアニメだった「結城友奈は勇者である」も、「花」というモチーフが劇中設定にもビジュアル面にもふんだんに組み込まれ、その統合っぷり(と美しさ)が最高だったんで、どうもこういうアニメに自分は弱いのでしょう。

 

シンデレラガールズのえらいところは、ちゃんと「シンデレラ」というモチーフを全面に押し出し、至る所に要素を配置する、丁寧な作品作りをしている点だと思います。

正直、各アイドルが毎話適当に登場し、わいのわいのしているだけのアニメになった可能性も十分に考えられました。というより、それが艦これアニメ1話だったと。そして艦これ1話は「保護者会」と言われ、お気に入りの艦娘に並々ならぬ愛情を注がないと楽しめないものになってしまったわけです。

だけどシンデレラガールズは、「シンデレラストーリー」というアイドルものにはド王道なコンセプトを迷わず選択し、それをたった1話で視聴者にこれでもかと提示している。しかも、登場予定アイドルたち全員を声付きでは出さず、卯月と凛にのみ焦点をしぼり、「普通の女の子のシンデレラストーリー」のはじまりをしっかり描いていることは、とにかくもう絶賛していいと思う。この後がたとえ大爆散しようと、この1話だけは「アニメの第1話」として素晴らしいという話です。

以上までをまとめると、「もうマジで最高」となるのです。

 

余談ですが、放映前から、シンデレラガールズは以下の作品あらすじがすごく気に入ってました。

普通の毎日を送っていた女の子。アイドルの卵に選ばれた彼女たちが、初めて見る世界で紡ぐシンデレラストーリー。みんなと一緒にお城へと続く階段に登っていく事が出来るのか。今、魔法がかかり始める。

この最後の一文、「魔法がかかり始める」ってのがすごく気持ちいい。シンデレラストーリーをこの一文で説明できてる。それだけで引き込まれたところに、魔法を確実に感じられる1話が激突してしまい、本文を書く衝動と相成りました。

いやもうとにかく、この1話だけでもすごいいい。これほどまでアニメの1話としてつかみがバツグンなのもめずらしい。ソシャゲ原作ならなおさらじゃないかしら。

こんな風に1話からコンセプトとモチーフで全力でぶん殴る作品は、自分の中では「訴求力が高い」という言葉で表現しています。ゆゆゆも変身〜勇者パンチまでの訴求力はすごく高かったですね。けど、勇者パンチが1話ラストだったのに対し、シンデレラガールズのシンデレラモチーフは冒頭1分で出そろってるのがすごい。ある意味、「まず最初に叩きつける」という意味で、シンデレラガールズの訴求力はとんでもなく高いのではないでしょうか。

ともかくも、この1話はぜひ観てほしい。まもなくネット各所で配信も始まることだし、モバマスどころかアイマスにも特に関心のない人にとっても、観て損はしないはずでしょう。「アニメの第1話」にかけられたシンデレラの魔法を、ぜひ体感してみてください。