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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

ゆゆゆ11話諸感想

アニメ 結城友奈は勇者である DIARY

いや、本当によかった。ゆゆゆ11話。最終話への接続を考えると「これどうするんだ」という不安もあるけど、とてもよかった。みんなが東郷さんに同調して「神樹滅殺」になってもおかしくないし、そうなるかな、そうなったらおもしろいなと思っていたけど、友奈は「いやそれはちがう」となれたのは逆によかった。

以下、11話で思わず口にしたくなったことがらについて。

 

「日常へ帰るぞ」という意思表明

10話で神樹の破壊を決断した東郷さん。この行動に触発されて勇者部一同が神樹ブレイク工業になるかと思いきや、東郷以外の4人は東郷を止めにかかる。「世界の破壊」という選択を否定し、あくまで「日常への帰還」を目指す。これが友奈たちの総意となって稼働を始める。

9話で「ビビオペじゃねえのか」「いやちがいます」と友奈と風が論争していたけれども、この時点では友奈が上手に立っていた。そしてこの時の友奈の立場は「代償を払ってみんな全滅」ではなく、「日常に帰るには代償が必要」である。「ノーリスクで日常に戻る」であってほしかった風とは、ここが相違点だった。

リスクの有無で両者はケンカをしたわけだが、直後に東郷が「ノーリスクで日常に戻れないとかクソだからなかったことに」と言い始める。「日常に戻る」という共通目的を持ってた二人は、日常もろとも全て壊す東郷の選択に「いやそれはちがう」と立ちはだかるのである。もっとも、風がこの選択に行き着くために、樹が出ない声で姉に呼びかけ、一人で戦い続ける必要があったことは忘れてはいけない。

そして友奈と犬吠崎姉妹に肩入れする形で、夏凜も東郷を止めるために動き始める。このへん、人によっては無理やり感を感じるかもしれないが、あかねとれいがたった1話で友だちになるビビオペと比べれば十分納得のいく展開だろう。

 

友奈から剥奪された「神格」

外の世界を見せられ、東郷さんの悲痛な思いを聞いた友奈は、ショックから一時的に変身ができなくなる。「なせば大抵なんとかなる」のゴリ押しで進んできた彼女にはめずらしい、明確な挫折シーンである。

これまでのゆゆゆを振り返るに、友奈はビビッドパンチの使い手であると同時に、この物語の「神格」を任された存在であると判断できる。ジャイアント御霊を粉砕したり、夏凜のいた砂浜を特定したりと、要所要所で発揮している。しかし、ラブライブ!2期の穂乃果ほど大盤振る舞いしているわけではない。この程度の運用はおそらく標準レベルであろう。

そんな彼女が、11話で突如変身不能となり、目の前の状況に太刀打ちできなくなる。これは、「東郷さんに辛い思いをさせた」という自責の念から、「東郷を止める」という決断に迷いが生じたため、物語から要請された「怖気付くことなく挑む」という役割を友奈が遂行できなくなったからだろう。μ's辞めます宣言した穂乃果に海未ビンタが炸裂したのと一緒である。物語の提示した役割に背くとペナルティがついて回るのである。

そこで、「神格」を一時的に引き受けるのが夏凜である。この時の夏凜に与えられた「神格」は、友奈から限定移譲させられたものであり、「友奈に再起を促す」という目的のために運用されるものである。この目的を達成するには、夏凜の持ち味でもある「とにかくバーテックスを倒す」という役割を遂行し、友奈に今一度「勇者になる理由」を思い出してもらえばよい。

その結果があの連続満開であるというのも歯がゆいものがあるが、「主人公を再起させる存在」としての夏凜の立ち回りは、直後の散華状態も相まって十分すぎるほどだろう。奇しくも、友奈が遂行できなくなった「怖気付くことなく挑む」という役割を、夏凜は見事に果たしている。煮干しがごときダシ扱いとはいえ、ド王道の流れである。

 

誰がための勇者になるか

こうして夏凜の尊い犠牲により、友奈は再び「神格」行使者として復帰し、獅子座バーテックスを引き連れた東郷さんと相対する。東郷が苦悩を抱えていたことに責任を感じつつも、友奈は「世界を壊そうとする東郷さんを止める」という選択肢を取る。おそらく、友奈が東郷と真っ向から対立する、初めての場面だろう。

この時の友奈のセリフがとても印象深い。「東郷さんを守る!」と宣言しているのである。

彼女にとって、東郷の暴走を止めることは、「東郷さんを守る」ということにつながる。その真意は最終話になるまでわからないが、思いつめた彼女の心を救済する、というのがひとつの道筋として考えられるだろう。東郷の選択の先に待つのはつまるところ自滅である。世界もろとも自殺を選ぶ彼女の心を守り、「みんなのいた世界」へ帰還を目指す。それが最終話を前にした、結城友奈の至上目的である。

注目すべきは、彼女が「東郷さんを守る」と、明確に個人に対して宣言を行っている点であろう。

1話や5話など、友奈は物語の要所で「みんなを守る」「勇者になる」といった宣言をしている。勇者部五箇条も定期的に唱える。それらの発言はすごくマクロであり、言ってしまえば魔法少女的な聖人視点に近い。「多数のために自分を捧げる」という在り方は、ゆゆゆ作中の勇者の概念そのものであり、そのため何度も「友奈=黒幕(大赦)説」がささやかれ、「一番気味が悪い」とも言われるほどになった。

そんな彼女が、ここにきて東郷という個人を守ると発言する。もちろん、東郷といっしょに勇者部や周りの人間も守る、というニュアンスも含まれているだろう。だが、これまで全方位に向けられていた「勇者になる」という言葉が、一転して「東郷さんを守る」となっていることは、非常に大きなパラダイムシフトと言えるだろう。

勇者になりたてだった彼女は、「勇者になる!」と無邪気に宣誓しても許された。だが物語が佳境へさしかかり、「なんのために勇者になる?」という問いかけが物語から投げかけられ始める。悲痛な思いを東郷から告げられた友奈は、この問いに即答できず、「神格」を喪失してしまう。勇者になる目的を一度見失うのである。

そこを助けた夏凜は「友奈はどうしたいの?」と尋ねる。その問いかけに「東郷さんを止めたい」と、はじめて明確な答えを出す。一度「目的の喪失」を経験することで、「自分が本当にやりたいこと」を見出す。これは、ラブライブ!1期にも見られた重要な物語駆動のメソッドであり、ゆゆゆにおいては、最終話へ向けて主人公に疾走を促すメソッドとなる。

おそらくだが、11話のクライマックスに勇者パンチを放った友奈は、今まで以上に「神格」に適合している。「みんなの勇者」から「東郷さんを守る勇者」になった彼女なら、「神格」の行使によって相応の奇跡を引き起こすことも可能だろう。それが円環の理になるか、宇宙創成の光・ビビッドパンチになるか、あるいは全く違う方法を見せるか。「貴方に微笑む」という最終話タイトルと合わせて、その結末を受け止めたい。

 

 

*ただの感想一覧

・声なき樹の声

樹が声も出せないのに風に向かって話しかけ続ける場面がすごく突き刺さった。担当声優の黒沢ともよさんは、声を出せなくなったに対して以下のコメントを残している。

犬吠埼樹は5話の戦闘での後遺症で発声機能を失いました。

つまり、今彼女はしゃべることができません。
でも彼女はそこにいて、そこで生きています。

わたしは今まで、
自分がアニメに関わる時は“あくまで声優”であり、
監督がいらして、アニメーターさんがいらして、
わたしが“声”をあてて、ようやくその子になるものだということを
強く考えながら芝居をしてきました。

アニメに出てくる人々は
映画やドラマや舞台の登場人物よりも、
よりたくさんの人たちの元を通過してくることによって
アイデンティティーを獲得して魂を持つことが多いように思います。

それは変わらないし、
それを意識し続けることを大切なことだと思う気持ちは変わりません。

でも、今回。
樹が声を失ってしまった回を見て、
エンドロールに自分の名前を見つけた時に、
少しだけ想いが変わりました。

「あくまで声を担当する」…そればかりを思うのではなく、
もっともっと役と一緒に生きていていいのだと。

そう、思いました。

黒沢ともよオフィシャルブログ もよちーのよちよち歩き『勇者勇者は勇者である?』

あぁ、なんて尊い。本当によい声優さんにあたったものだ。

実際、声重視なキャストに見えたゆゆゆなのに、出せない声で姉に話し続ける樹はすごい存在感があり、「彼女がそこに生きている」という実感を持たせてくれた。短いカットだったけど、すごくよいシーンだった。

 

・友奈復活シーン

ここにきての素の勇者パンチにもときめいたが、BGMが変身時の曲を採用してきたのはかなりしびれた。

あのBGMの曲名は『威風堂々』というものなんだけど、仁王立ちし、声色も若干低くすごまった友奈の姿は、まさにこの曲名そのものというところ。1話の変身シーン以上に興奮したし、やっぱこの子の主人公力(ぢから)高い。

 

・にぼっしーミスリード

ゆゆゆは「キービジュアルが散華箇所を暗示している」というギミックが一時期話題になり、夏凜は「影になっている右手右足喪失かな?」と推測が立っていた。

これ、当たってはいたんだけども、さらに視力聴覚も持ってかれたので、結果的にミスリードになった。えげつねえ。

ただ、満開直前のセリフがドンピシャという。

さあさあ!!
ここからが大見せ場!!
遠からん者は音に聞け!! 近くば寄って目にも見よ!!
これが讃州中学2年勇者部部員!
三好夏凛の実力だああああああああああああああ!!!!!!!!!!

音は聞けないし目は見れない。ゆゆゆ、つくづく「本人が望んだこと」が狙い撃ちされる悪辣な世界観だ。 

 

・「貴方に微笑む」

最終話タイトルはどうやら山桜の花言葉らしい。

桜。すなわち友奈の花である。ただしどの桜かは明言されてこなかった。

僕は「どうせソメイヨシノだからクローンかなにかだろ」とか思っていたけど、ここにきてそうではないと示された。山桜って、フィクション的にはどんな感じで用いられているんだろうか。すぐに思いつかないのがもどかしい。