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うらがみらいぶらり

チラシの裏のアーカイブ

ラブライブ!2期で説明する「神格」の機能

先日、アニメにおける「神格」について記事を書いた。その際、具体例としてラブライブ!2期を取り上げた。ラブライブ!2期は「神格」が非常にわかりやすい形で現れており、そもそも僕が「神格」に気づいたのがラブライブ!だった。

抽象論になってしまった前記事に対し、こちらでは2期を具体例として、あらためて「神格」が持つ機能について述べようと思う。

先に「神格」の概論を知りたいという方は、こちらをどうぞ。

1話:「神格」の獲得

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穂乃果の生徒会長就任といきなりのミュージカルで面食らった人も多い1話だが、一連の冒頭は「穂乃果がこの物語における中心である」ということを証明している。「学内のだれでもない存在」だった1期1話では廃校の知らせを前に倒れるしかなかったが、2期の穂乃果はすでに「μ'sのリーダー」という肩書を得て著名に、さらに2期1話で「音ノ木坂の生徒会長」という権限まで獲得している。この「権限」こそ「神格」の暗喩であると見立てることができるだろう。

 

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ただし、「神格」という物語の管理権限を得ることは、物語に対して大きな責務を負う、ということでもある。「責務」の象徴が、あいさつ後に海未に叩きつけられた書類の山であり、それを前に唖然とする穂乃果は、まだ完全には「神格」の受領が完了していない、と見ることができる。

 

以上のような冒頭の後に、この回の目玉とも言える「にほんばれシーン」がやってくる。

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これまでのラブライブ!における雨は、1期11話を代表として、なにかしらの「挫折」を暗示するものである。穂乃果が雨に倒れる場面を「神(≒物語)に対しての敗北」と語った人がいたが、実際「お前はここで挫折しなさい」という筋書きに屈服したと解釈できるだろう。

そのような覆しようのない「天候」に対して、高坂穂乃果は神田明神から呼びかける。

皆が呆然と見守る中、ついさっき降り始めたばかりの雨は突然止み、雲の切れ間から陽の光が差し込む。人の意思ではどうしようもない「天候」かつ、ラブライブ!という物語における「挫折の象徴」を、穂乃果という一キャラクターの意思によって変えてしまったのである。

 

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そして、穂乃果が高らかに右腕をかかげ、「優勝を目指す」と宣言したところで1話は終了する。この直後に「それは僕たちの奇跡」という、とても示唆的なオープニングがインサートされることは興味深いが、本記事では割愛する。

この「にほんばれシーン」をもって、穂乃果への管理権限継承が完了したと判断できるだろう。『「神格」を獲得した』とは、この管理権限の継承が完了したことに他ならない。かつて「神」に敗北した穂乃果が、1期全13話を経て、2期のスタートにて「神」を超克したことから、ラブライブ!2期が「奇跡」へ至る物語である可能性がある、と推察できるだろう。

 

2話:神はどんな場所でも寝る

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語ることが非常に多い1話に対して、2話は穂乃果よりもμ's超高校級クリエイター陣に焦点を当てているため、「神格」について語ることは少ない。

ただ、一夜明けて穂乃果が断崖絶壁ギリギリで寝ていたシーンは、数少ない関連シーンである。明らかにヤバい状況でも、「神格」で設定した状況ならば死ぬことはあり得ない。神田明神でラブ♡にこアタックを辛うじて耐えていた「人間」の穂乃果は、この合宿にはいないのである。

 

3話:神の召喚と神殿への招致

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3話でもっとも注目すべき場面はA-RISE登場シーン全般に他ならない。

1期におけるA-RISEとは、スクールアイドルの代表例であり、その頂点であり、μ'sから見ればそれこそ「神」のような存在だった。「神」ゆえに、「人間」たちの住む音ノ木坂学院に現れることもなく、彼女たちの姿は映像や写真としった伝聞記録によってしか見ることはできなかったのである。

「神」とは「神格を持つキャラクター」と言い換えられるが、ある意味では「物語の状況」そのものであり、環境である。もしあなたがMTGエキスパンション「テーロス」をご存知なら、「神」とはまさに神サイクルに属するクリーチャー・エンチャントだと思ってくれて構わない。今まではエンチャントでしかなかったA-RISEが、穂乃果たちの前にクリーチャーとして顕現したのである。それは、穂乃果が「神格」を得たことで、ようやく綺羅ツバサと同じ舞台に立てるようになったことを意味しているだろう。

 

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直後のUTX内部のシーンもかなり示唆的である。背景は実際のUDXと近しいものだが、圧倒的な光量によって生み出された縦格子は神殿のように見立てられる。A-RISEが住まう神域であることを示しているが、注目すべきはツバサと穂乃果の立ち位置である。

位階としては上であるはずのツバサが、この場面では下手(≒下位)に立っているのである。「この場面においての主導権は穂乃果にあり、ツバサは英雄の導き手にすぎない」という見立てが可能な1シーンである。

この他にも、μ'sとA-RISEはこの回だけでぐるぐると上手と下手が入れ替わる。しかし、最終的に上手に立つのはμ'sである。「完敗からのスタート」になった1期3話のような、穂乃果たちが下手に立つ舞台ではないことが読み取れるのである。

 

4話:クソコラの対象と、さりげない脇役召喚

重要な要素を見出せた3話に対し、4話は矢澤回ということもあり、「神格」の話題としては若干脇道にそれる。その代わり、穂乃果の対ともいえる、「人間」の極致に立つ矢澤にこについては、非常に多くのことを語れるだろう。それらを逐一話すと本記事の趣旨から外れるため割愛するが、一つだけ「神格」に絡みそうな場面があるので取り上げたい。

 

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クソコラである。まさかのハンドメイドかよにこ先輩。

この「偽μ'sポスター」を作るために犠牲になっているのは、ほとんど穂乃果である。穂乃果が中央に立っているので当然の結果だが、「神格」を持つ身体に自らの首を乗せることで、その「神格」を強奪しようとした、という意図も考えられるのではないだろうか。矢澤と強奪といえば、1期5話のポテト強奪シーンが有名なところだろう。矢澤は「持つ者」から自分の足りないものを奪おうと画策する存在である。それが「人間」であり、2話で真姫に焼き芋をわけ与えたシーンがいかに重要か分かる。

 

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一方の穂乃果はなにをしたかというと、矢澤シスターズ(+弟)を音ノ木坂に連れてくるだけである。しかし、おそらく一度しか会ってないであろう矢澤の妹弟を連れてくることは容易ではないだろう。そのため、「神格」を用いて矢澤家から連れてきた、と解釈するのが自然な流れになる。「神格」をもってすれば、人の家に侵入することも容易なのである。

 

 

暫定的なまとめ

以上をざっくりまとめると、「穂乃果がかなりやりたい放題にやっている」ということに尽きる。実際、物語をやりたい放題にできる能力こそ「神格」であり、それゆえに物語を正しく導く責任をともなっているのである。

 

なお、5話についても記そうと思ったのだが、書き連ねていくとどうにも長くなってしまうので、別記事にすることにした。それだけ重要ということであり、それだけよい話だったということであり、それだけ凛ちゃんを前にして涙が止まらなかったということである。